福井駅今庄そば

福井駅の駅そば。ここも朝6時から営業していて何度も朝食にそばを食べさせてもらいました。
この今庄そば、何で福井駅に今庄なのかなぁ、と不思議に思っていたら、やはり発祥は北陸本線今庄駅でした。従ってお店の読みは「今庄(いまじょう)」が正しいということです。

1962年(昭和37年)に北陸トンネル(13、800m)が開通するまで、北陸本線は今庄駅から敦賀駅に向かって急勾配が続く海際の山岳路線でした。今庄は機関車の付け替えや増連などで機関区が設けられ広大な構内を持つ駅でした。当然停車時間が長かったので乗客は駅そばに舌つづみを打ったのでしょう。

北陸トンネル開通後、今庄駅の機関区は閉鎖となり駅員も3分の1に減りました。さらに優等列車も通過する様になってしまい今庄駅はすっかり寂しくなってしまったのです。

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そしてこの駅に誕生した今庄そばは、福井駅に移ってきたのです。

天玉そば430円。麺は少し太め、出汁は関西風です。
天玉そば

今庄駅を出ると現在は南今庄駅ですが北陸トンネル開通以前はスイッチバックの大桐駅で勾配を上り、山中信号場でさらにスイッチバック、5本のトンネルを抜けて杉津(すいづ)駅に着きました。北陸本線で最も景色の良い駅として有名で、行啓した大正天皇が風景に見入っていたので発車を遅らせたという逸話が残っているくらいです。さらに4本のトンネルを抜け、またスイッチバックの葉原信号場と新保駅がありトンネルを2つ越えるとようやく敦賀駅だったのです。

4つのスイッチバックと12のトンネルという勾配路線は現在よりも1時間以上の時間がかかっていました。今庄から敦賀まで、現在では南今庄駅に停車しても15分です。

梅こんぶそば、400円。チューブの梅肉ではない刻んだ梅干しが良いです。そしてとろろ昆布は関西風の出汁によく合います。麺が太いのでちょっとうどん風に見えますが。
梅とろろそば

今庄そばは武生駅にもあるそうです。先日、福井鉄道の越前武生駅から歩いて行きましたが乗り換えの時間が短くて駅をゆっくり眺める時間がなかったのが残念です。

越前武生駅で見かけた600形電車602号車。元名古屋市交通局の車両です。冬の居酒屋電車に使われています。
福井鉄道600形電車

越美北線(九頭竜線)に乗るために来たり、北陸本線が第三セクター化される前は関西以西に行くのに上越線や信越本線、あるいは高山本線で日本海側に出て富山、金沢、福井を通って敦賀から小浜線、舞鶴線、山陰本線経由で延々と日本海に沿って下関まで行くのが好きでした。もちろん、今も福井駅に来ると今庄そばを食べます。

(写真・記事/住田至朗)