感染予防への協力を呼び掛ける東京メトロのポスター 画像:日本民営鉄道協会

日本民営鉄道協会は、新型コロナウイルス感染症の影響を月次でまとめ公表している。データがそろったのは2020年10月分まで。同月の輸送人員は大手16社合計で6億9152万7000人で、前年同月比21.3%減となった。定期23.7%減、定期外17.4%減で、定期の方がマイナス率が大きい。コロナ禍でリモートワークや在宅勤務が定着。日々、都心の職場に通う通勤客が、定期外にシフトしていることなどが考えられる。

2020年度の推移(定期、定期外合計)では、緊急事態宣言の2020年4月の47.9%減が最もマイナス幅が大きく、翌5月は47.1%減だったが、6月以降は2~3割台のマイナスに終始。10月の21.3%減のマイナス率は4月以降で最小だった。政府のGo To トラベル事業の効果なども考えられる。

10月の地区別では、関東9社が22.7%減、関西5社が21.3%減で、関東が1.4ポイントとわずかながら落ち込みが大きい。

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10月の旅客収入の前年同月比は定期22.2%減、定期外21.1%減で、全体では21.5%減。定期外で輸送人員が17.4%減なのに収入が21.1%減なのは、遠出を避けて近場の利用が増えていることを示す。

コロナの影響は緊急事態宣言の2020年春に比べると縮小に向かいつつあるものの、依然として前年より輸送人員、収入ともに前年を2割程度下回っており、こうした状況は当分継続するとみられる。

民鉄協は同時に、会員各社の感染拡大予防策を紹介。「車内換気」「駅構内の消毒、抗ウイルス・抗菌処置の実施」「車両内の抗ウイルス・抗菌処置の実施」「列車の混雑状況の発信」「ソーシャルディスタンスの確保」などで、時差通勤・通学やテレワークへの協力を求める。

文:上里夏生