SAMURAIパスポートで城下町金沢をお得に巡る

復元された鼠多門橋

2020年7月18日、鼠多門と鼠多門橋が復元整備された。かつて玉泉院丸庭園と尾山神社を結んでいたルートが明治時代以来およそ140年ぶりに復活したことで、金沢の街に新たな周遊ルートが生まれた。長町武家屋敷跡地→金沢城公園→兼六園→本多の森公園に至る約2kmの「加賀百万石回遊ルート」である。金沢を代表する文化施設を総なめ、とは言わないまでも、かなり効率よく周れる。

鼠多門のやぐらは内部見学も可能
釘を使わずに木組で組み立てられている

JR金沢駅構内にある金沢観光案内所、金沢ニューグランドビル1Fにある金沢中央観光案内所では、2021年3月31日までこのルートの周遊に便利な「SAMURAIパスポート」を購入できる。これは同ルート内の文化施設12施設に1000円で2日間何度でも入場可能になるという、かなり狂った値段設定のパスポートで、さらに500円出せば金沢市内の「城下まち金沢周遊」「兼六園シャトル」指定エリア内の「路線バス」1日フリー乗車券もつく(バスの利用は1日限定)。

また同ルートを案内するスマートフォンアプリも提供されており、金沢の文化に詳しくなくとも気軽に周ることができる。コロナ前の世界であれば、修学旅行や研究室旅行などに重宝しそうだ。現在は金沢市内での旅行も難しいかもしれないが、飲み食いせずに周遊するだけなら三密は回避しやすい。押さえておこう。

フリーパスの対象ではないが、提示すれば国立工芸館など3施設には優待割引で入館できる

絵付け体験や包丁の工場見学も

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福井といえば鉄道ファンは「福井駅の恐竜」を思い出してしまうかもしれない。JR福井駅西口駅前広場には、北陸新幹線金沢開業を記念し、恐竜の動くモニュメントなどが設置されている。福井は恐竜の化石が多数発掘された恐竜王国だ。

だが福井は恐竜だけの町ではない。経済産業大臣指定の伝統的工芸品として、越前漆器、越前和紙、若狭めのう細工、若狭塗、越前打刃物、越前焼、越前箪笥の7品目が指定されている。「技」の町でもあるのだ。越前漆器のミュージアム「うるしの里会館」(鯖江市)での絵付け体験や、創業70年を迎える越前打刃物の工場見学では、その一端に触れられる。

下絵をトレースするだけなので絵が苦手でも大丈夫 体験後はお皿のお持ち帰りもできる

絵付け体験の他にも様々なワークショップが開催され鳥、館内では展示見学や商品の購入も可能。綺麗な漆器はもちろんそれなりのお値段はするのだが、品の良いプレゼントにもなるし、普段使いするなら生活のグレードを上げてくれる逸品が揃っている。

食器だけでなく名刺入れなども販売している
市松小箱、今ならこの柄はプレゼントとして人気が出そうだ

越前打刃物の歴史は南北朝時代から続く。龍泉刃物は産地内でいち早くステンレス鋼の製品化を進め、一般家庭用包丁の分野に着手した。2019年4月には越前市に直営店がオープン。龍泉刃物ファクトリー&ストアでは、じゃらんnetから予約することでMY包丁づくりなどの体験ができる。

伝統的な“手技”、機械に頼らない“手仕事”にこだわる
刃に浮き上がる文様が美しい

これらの体験はやや「お勉強」に寄っているかもしれないが、自分で体験して作ったものを持ち帰れるのは嬉しい。筆者も小学生の頃に「熊野筆」の工房に連れて行ってもらいオリジナルの筆を作った覚えがある。体験そのものの内容は忘れても、モノが残ればいつまでも覚えているもので、思い出作りにはちょうどいい。実用性の面でも、うるしの里会館で食器を買い、龍泉刃物で包丁を買うとちょっと食卓が贅沢になりそうだ。

「JBH」では、そうした観光メニューの他にも「魚津埋没林」や、1日5食限定の「百万石カニ加賀飯」など、現地にしかない、現地でしか食べられないものが多数案内されている。

富山県の「魚津埋没林博物館」では、水中に沈む原生林を見ることができる
写真右上の「百万石カニ加賀飯」は加賀温泉駅前の「くいもん家 ふるさと」で1日5食限定提供 「JBH」Webサイトで閲覧できる電子パンフレットの隅にひっそりと紹介されている。3日前要予約(取材時)