優先席は1975年登場のシルバーシートがルーツ

快適性につながるバリアフリーで、最もポピュラーなのは優先席でしょう。東京メトロの始まりは、1975年の帝都高速度交通営団時代に登場したシルバーシート。今は各車両に優先席がありますが、当時のシルバーシートは一部の車両だけでした。

1996年にはシルバーシートを各車両1カ所以上に拡大。1999年には名称を現在と同じ優先席に改め、高齢者のほか、障がい者や乳幼児連れの旅客も利用できるようにしました(それ以前も利用はできたので、この表現が正確とはいえませんが)。

車高を下げて車いすで乗り降りしやすく

普段は気付きにくいものの、車いすの利用客にとって朗報なのが。車両とホームの段差低減。有楽町線・副都心線を見れば、これまで主力だった7000系の床面高さが1200ミリだったのに対し、17000系は1140ミリと60ミリ下げています。

ドア出入り口の高さと形状。17000系と7000系を比較しました。(資料:東京メトロ)

ADVERTISEMENT

電車で難しいのは、満員のラッシュ時と早朝や昼間の空いた列車で車高が違ってしまう点。そこで最近の車両は、ドア部分に車両側からの緩やかな下り勾配を付け、混雑時も、それ以外もスムーズに乗降できるようにしています。

もう一つの車いす乗降のための工夫が、ドアレールの切り欠き。車いすの車輪がドアレールに引っ掛からず、なめらかに車内に入れます。

車内は強化ガラス多用で開放感を演出

車内環境では、座席端部の袖仕切りや荷棚(荷物を載せる棚の部分)、連結部の貫通引き戸を強化ガラスとして、縦方向(進行方向)の見通しが利くようにしています。トンネル内を走行する地下鉄はどうしても閉そく的に感じられるので、開放感を演出するわけです。

耳で聞いて分かるのが、車内放送用スピーカーの再生周波数特性改善。地上に比べて走行音が大きいトンネル内も、放送が明瞭に聞こえるようにしています。