「顔は究極の個人情報」

さて、顔認証にはどんなメリットがあるのでしょう。ジョルダンの資料には、「顔認証を利用した各種サービスの提供」「決済とポイント機能を活用したチケットサービス」「キャッシュレスサービスとのシームレスな連携」といった項目が並びます。

考えてみれば、チケットサービスやキャッシュレスサービス自体は、顔認証でもICカードでも、大きくは変わりません。顔認証最大のメリットは不適切さを承知で使わせていただければ、「顔は究極の個人情報」ということでしょうか。

顔認証は、盗まれたり不正使用される心配がまずありません。財布やスマホ、定期券を忘れたりなくしたりして、はらはらした経験をお持ちの方、ひょっとしたら顔認証の恩恵を最大限受けるのはあなたかもしれません(実は私も)。コロナ時代には、非接触というのも見逃せない利点です。

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鉄道やバスからは離れますが、世の中で顔認証が待望されるのが施設の入退場管理。IDカードだけだと、なりすましによる不正侵入を許してしまう可能性があります。入退場記録だけでは、人物を特定しにくい。そうした課題を解決するのが顔認証で、入室時に顔認証し、登録データと一致したら解錠します。コンサートチケットの不正転売防止のため、顔認証を活用する動きもあります。

山万はバスや鉄道に続き、ニュータウン内の病院や公共施設など顔認証を広げる構想です。生活や交通の質を高める目的で、ゆくゆくは入室や宅配ロッカーもストレスフリーで利用できるようになるでしょう。

自治体アプリで住民ポイントを電子マネーに交換

顔認証乗車と自治体アプリポイント交換連携=イメージ=(画像:ジョルダン)

ジョルダンは会見でジョルダンスタイル3.1の機能として、「地方自治体アプリでのポイント交換連携」も発表しました。住民向けポイントを発行する自治体は多いのですが、貯めても使い道がないとしょうがない。ジョルダンアプリは、自治体などが発行するポイントをPayPayポイントや楽天ポイント、WAONポイントといった電子マネーに交換します。

自治体アプリは、全国約40の都道府県・市町村で採用実績があるそう。代表例が、神戸市環境局の「イイぐるポイント」や京都市の「京都学生ポイント(KYO-GAKUポイント)」。顔認証と自治体ポイント連携はそれぞれ独立しているわけでなく、協業の可能性も大いにあります。例えば、顔認証で鉄道やバスを利用すると自治体がエコポイントを進呈といった、公共交通シフト策が考えられます。