新潟、秋田、山形を通る新幹線

羽越新幹線と奥羽新幹線のルートイメージ。2つの新幹線が走るのは山形県と秋田県です。(画像:羽越・奥羽新幹線関係6県合同PT)

最初にルートをみましょう。図で一目瞭然、羽越新幹線は日本海に沿って、富山からストレートに北上します。東北新幹線の枝線のように見える奥羽新幹線は、秋田駅で羽越新幹線に接続します。主な経由地は羽越が新潟(人口79万人)と秋田(30万人)、奥羽が山形(25万人)の県庁所在地が挙がっています。羽越では、新潟県村上(6万人)、山形県鶴岡(12万人)、同酒田(10万人)、秋田県能代(5万人)、青森県弘前(17万人)の各市などにも新幹線駅が開設されるようです。

羽越新幹線は富山―上越妙高間は北陸新幹線、長岡―新潟間は上越新幹線と線路を共用するので、路線長は486.1キロながら170.2キロが既設で、新しく建設するのは310キロ余。奥羽新幹線は既設区間は700メートル程度(始発の福島駅付近だと思います)で、ほぼ全区間を新しく建設します。

単線・土構造だと建設費を1兆円以上カットできる

本題のPT調査結果に移ります。PTメンバーは青森、秋田、山形、福島、新潟、富山の6県で、山形県みらい企画創造部が事務局を務めます。活動目標は「羽越・奥羽新幹線の早期実現に向け、関係6県が連携した取り組みを加速させ、政府などに対する要望・提案を説得力ある効果的なものにする」だそう。

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PTによる調査期間は、2017~2021年度の5年間。①羽越・奥羽新幹線の費用便益比(費用対効果)算出、②整備手法の比較・研究、③羽越・奥羽新幹線を活用した地域ビジョン策定――の3項目を精査しました。新線の整備手法・費用は「複線・高架」、「単線・土構造路盤(盛土)・駅舎(既存駅の改良)」の2タイプで算出しました。

四国や山陰新幹線でも取り上げた単線新幹線が、羽越・奥羽にも登場しています。詳細は別表をご覧いただきたいと思いますが、当然ながら複線・高架の方が整備費用は高額で、羽越・奥羽新幹線の総額で5兆3500億円。単線・土構造だと4兆400億円~4兆2200億円で済みます。単線の方が1兆円以上経費節減できます。

「複線・高架」と「単線・土構造路盤(盛土)・駅舎」の整備手法による事業費の違い。羽越・奥羽新幹線と直接関係ありませんが、最近は盛土による鉄道整備手法も見直されています。(資料:羽越・奥羽新幹線関係6県合同PT)