横浜市電、国鉄根岸線、市営地下鉄……

横浜市電の前身・横浜電気鉄道は明治年間の1904年に開業しました。最初期の電車は運転席が室外で、運転士は吹きさらしでした(画像は岡田主任調査研究員の発表から)

戦後の鉄軌道の変遷を駆け足でたどれば、1950年代に最盛期を迎えたのが横浜市電。横浜市民に親しまれた地域の足でしたが、自動車の普及で道路渋滞の原因扱いされたほか、拡大する市域に路線網が追い付けず1972年までに廃止されます。

代わって登場したのが、国鉄新線の根岸線。1964年に桜木町―磯子間、1973年に磯子―大船間が開業。東海道線の別線ルートを形成したほか、貨物列車も運行され、物流ルートとして京浜工業地帯の発展に貢献します。

横浜市営地下鉄は、横浜市が1966年に整備を決定。1972年に上大岡―伊勢佐木長者町間が開業したのに続き、横浜(駅)、新横浜、港北ニュータウン、戸塚、湘南台へと路線を延伸。人口集中で拡大する横浜の市域を、根岸線や市営地下鉄が支えたという見方も可能でしょう。

8路線が乗り入れ、乗車人員は全国5位

横浜―桜木町間の高架上を行く京浜東北線。2004年のみなとみらい線開業までは東急東横線が並走していました(筆者撮影)

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現在、横浜駅に乗り入れる鉄道は、順不同でJR、東急、京急、相鉄、市営地下鉄、横浜高速鉄道みなとみらい線の6社、JRを京浜東北線、東海道線、横須賀線の3線区にカウントすれば全部で8路線で、路線数は全国トップクラスです。岡田主任調査研究員によると、横浜駅の1日平均乗車人員は約110万人(2014-2015年の鉄道各社統計から)で、新宿、渋谷、池袋、梅田(JRは大阪)駅に次いで全国5位にランクされます。

紹介が最後になってしまいましたが、岡田研究員が所属する横浜市中区の横浜市都市発展記念館は横浜の都市の歩みを紹介する博物館で、2003年3月に開館。詳細はこれからでずが、2022年の鉄道開業150周年では企画展も開催する予定だそう。鉄道史に興味を持つ皆さん、ぜひホームページを時々チェックしてみて下さい。

記事:上里夏生