「デジタル技術で鉄道システムを革新」(鉄道総研)

鉄道総研の「デジタル技術革新プロジェクト」の全体イメージ。5Gでは「汎用無線技術の列車への適用」などに取り組みます(資料:鉄道総研)

話が鉄道から離れ過ぎました。ここからは鉄道業界で5Gがどのように活用されるのか、どんな可能性を持つのか、話題を拾いたいと思います。

ミライトとの協業実績を持つのが鉄道総合技術研究所です。鉄道総研は2020年4月、「デジタル技術革新プロジェクト」を始動、画像解析やAIといった基礎研究に取り組む一方で、5Gのミライトをはじめノウハウを持つ企業とも研究成果を共有し、鉄道システムのデジタル化を主導します。

5G活用では、自動運転などの運転制御に次世代通信技術を活用する研究を進め、線路保守などの施設関係でも地上設備の軽量化に力を入れます。異常時にもダイヤを維持できる、柔軟性を備えた新しい自律型の列車運行運行管理システムの実用化にも取り組みます。

ADVERTISEMENT

画像解析では、5Gによる伝送技術も活用しながら、踏切の列車支障物を検知できるようにするほか、荒天時をはじめ肉眼での確認が難しい場合は運転席から撮影した画像で前方の安全を確認します。

AI活用では、カメラやセンサーにより、鉄道車両や地上設備を状態(常態)監視。5G利用で、異常検知に必要なデータを自動収集して、車両や設備のトラブルを予知、鉄道への信頼性を向上させます。

4Kカメラで300メートル先の人物が見える

鉄道総研の「デジタル技術革新プロジェクト」は、始動から1年半を経過して、順調に成果を挙げます。公表された研究成果では、鮮明な画像を撮影できる4Kカメラを用いて昼間に300メートル先方の人物を90%以上の確率で認知。運転士をサポートします。

AIでは、気動車やディーゼル機関車の振動を分析して、エンジントラブルを未然防止。車上センサーで、軌道や橋梁の変位、橋脚の傾斜・沈下といった地上側の異常を検知する技術の研究も進みます。