「鉄印帳の旅」に選考委特別賞

鉄印帳と参加三セク鉄道40社の社名とマーク(資料:国土交通省)

日本鉄道賞の次点に当たる「日本鉄道賞表彰選考委員会による特別賞」には、第三セクター鉄道等協議会、読売旅行、旅行読売出版社、日本旅行の「地方鉄道をつなぐ、元気にする『鉄印帳』事業」、大阪モノレールの「医療従事者応援プロジェクト『ブルーエール号の発信』」、東急、伊豆急行、首都高速道路、首都高技術の「『鉄道版インフラドクター』を伊豆急行線のトンネル検査に導入」、JR九州の「鉄道で地域の魅力を再発見D&S列車『36ぷらす3』」の4件が選ばれました。

「鉄印帳」は、何回も本サイトで紹介させていただいたので繰り返しは避けますが、選考委は「人間の持つコレクションの気持ちを巧みに刺激するこの試みは、他の鉄道事業者にも刺激を与えた」と評価しました。確かに鉄道各社の営業戦略では、類似の企画が相次いでいます。

鉄印帳の表彰には三セク協の中村一郎会長(三陸鉄道社長)、読売旅行と旅行読売出版社の坂元隆社長、日本旅行の小谷野悦光社長がオンライン参加しました(画像:国土交通省)

従来の鉄道スタンプラリーは鉄道ファン以外、なかなか広がらなかったのですが、鉄印帳は鉄道にさほど関心のない女性や高齢の旅行ファンにヒットした点が、最大の成功要因でしょう。私には、これからの営業キャンペーンの方向性を示した点が選考委員の心に刺さったように思えます。

クラファンで医療従事者にエール

万博記念公園に建つ「太陽の塔」をバックに走る「ブルーエール号」(資料:国土交通省)

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大阪モノレールの「ブルーエール号」も、本サイトで取り上げました。コロナ禍の最前線に立つ医療従事者に、ブルーの特別塗装車でエールを送る。資金はクラウドファンディングで調達しました。国交省の資料で初めて知ったことを一つ挙げると、アイディアは利用客からの1通のメールでした。

コロナ禍では、医療や介護従事者が社会に欠かせない「エッセンシャルワーカー」と認識されました。私は鉄道やバスの公共交通従事者も、エッセンシャルワーカーだと考えます。

大阪モノレールの選考委特別賞は井出仁雄社長が受賞しました(画像:国土交通省)