〝車輪付きの板〟が街を行く

電動キックボードに試乗する講習会参加者。アクセルやブレーキは手動で、もちろんウィンカーも付いています(画像:Luup)

続いては電動キックボード。東京や大阪で時折見かけるようになりましたが、読んで字のごとくモーターで動くキックボード。キックスケーターやキックスクーターと呼ばれることもある、「車輪付きの板」がその正体です。

道路交通法と道路運送車両法上は原動機付自転車、いわゆる原付バイクと同類で、運転には免許が必要です。法令では、モーター出力などが細かく規定されます。

電動キックボードで特徴的なのは、例えば電動アシスト自転車のようにメーカーがさまざまな新型車を市場に送り出すのでなく、Luup(ループ。サービス名は「LUUP」)というスタートアップ(ベンチャー)企業が中心になって、普及を図る点でしょう(ほかにmovicle〈モビクル〉というサービスもあります)。

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現時点の電動キックボードは〝番外編原付バイク〟のような存在で、どこでも誰でもが利用できるわけではありません。乗れるのは国の規制緩和で認められたエリアだけ。Luupは警察などへの規制緩和の働きかけとキックボードの貸し出しを一体的に手掛け、ライバルが出現しにくい環境にあります。

シームレスな移動 さまざまなモビリティの可能性追求

鉄道事業者で、電動キックボードに注目するのがJR西日本です。JR西日本グループは、「シームレスな移動。鉄道に限らずさまざまなモビリティの可能性を探りたい」とします。グリスロと電動キックボード、形態は異なりますが、JR東日本とJR西日本の目標にするところには共通性があります。

キックボード普及に向けJR西日本が2021年10月24日、Luupと共催したのが安全講習会。会場は、大阪市港区(偶然ですが東京も大阪も港区ですね)の大阪環状線弁天町駅高架下の「べんてんひろば」。試乗機会を提供しつつ、走行ルールを知ってもらう目的です。

安全講習会に先立つメディア向け取材会にはLuupの岡井大輝社長、JR西日本デジタルソリューション本部の内田修二戦略企画課長、南海電気鉄道イノベーション創造室新規事業部の加藤寛之課長補佐=写真左から=が参加しました(画像:Luup )

昨今、電動キックボードの交通事故が報じられます。「電動キックボードは危険な乗り物」の誤解が世間に浸透するのがLuupが心配する点で、その意味でもJR西日本のような地域を代表する企業との安全講習会に力を入れます。講習会当日は、参加者に試乗体験してもらったほか、大阪府警の協力で正しい走行ルールをレクチャーしました。