東北本線の旅も終盤になり、青森駅も近づく野辺地駅からは、南部縦貫鉄道が接続していました。いわゆる「レールバス」で有名な鉄道で、バスの車体をそのまま鉄道車両にしたような小型車両であるキハ101、キハ102が使用されていました。

南部縦貫鉄道は野辺地駅から七戸駅間の20.9kmを結ぶ路線で、1997年5月に休止、2002年8月に正式に廃止となりました。

写真は七戸駅で折り返しを待つキハ102です。寒冷地を走る路線ですが、まさにバスのような折り戸のドアで、簡易な造りの車両では真冬は少し寒かったかもしれません。車内もロングシートで、運転台も中央にあり、普通の鉄道車両とはかなり趣の異なる車両であったことは間違いありません。

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東北本線との接続駅の野辺地駅では、駅舎と反対側に跨線橋を渡ってゆくと、少し離れたところにポツンと南部縦貫鉄道のホームがありました。基本的には運行ダイヤは七戸を起点にしていて、野辺地では折り返し時間しか停車しないので、東北本線の利用者からもあまり見かけることはなかったかもしれません。

1980年以降、国鉄の赤字ローカル線の第3セクター化に伴い、レールバスは輸送力の適正化とコスト削減のため再び注目され、新世代のレールバスが各地に導入されました。しかし、レールバスと聞くと、いまでも南部縦貫鉄道を思い浮かべます。野辺地駅を通る際には、駅舎と反対側に目を遣ってみてはいかがでしょうか。

※各写真は一回の旅行で撮影しているわけではなく、複数回にわたるものを編集しています。

記事:芝系太