西武鉄道は池袋線2か所の踏切に踏切滞留AI監視システム、新宿線1か所に3D画像解析踏切監視システムを試験導入する。

池袋と所沢に踏切滞留AI監視システム

西武池袋線 池袋第9号踏切と所沢第3号踏切には、踏切滞留AI監視システムを試験導入。試験期間は12月14日~2022年3月31日(所沢第3号踏切は16日から)。

同システムでは、踏切内の人を踏切カメラ映像からAI処理し、物体の形状を認識。

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自動車などの物体の滞留を検知する「物体検知」と人の移動・滞留を検知する「骨格検知」の複数のAIアルゴリズムで、高い精度で迅速に踏切道の自動車や人を検知する。

骨格検知は、ディープラーニングによる画像中の関節点抽出、各関節点の接続状態推定で、画像内の人の骨格を検知するというもの。関節点間のつながりの強さも学習対象とすることで、高精度で人を検出できる。

また、AIカメラに低照度カメラを採用することで、夜間も鮮明な画像解析ができる。メーカーは、沖電気工業・丸紅ネットワークソリューションズ。

新宿線では3D画像解析踏切監視システム

西武新宿線 井荻第2号踏切では、3D画像解析踏切監視システムを試験導入。試験期間は12月21日~2022年3月31日。

同システムは、3Dカメラを使った高精度3D画像解析システムで踏切内に取り残された人を検知する。

左右2つのレンズを内蔵した3Dカメラによる画像解析で、左右カメラの視差により人の目と同じ様に距離・高さ、ボリュームを認識することで高精度に検知できる。

また、体積の無い光や影を検知することがないため、自然環境下に左右されない安定したパフォーマンスが期待できる。メーカーはコンピュータシステム研究所。

異常検知システムと特殊信号発光機を連動

西武鉄道は踏切の更なる安全性向上を目的として、踏切内の人をおもな検知対象としたカメラ画像の解析による踏切内の異常検知システムを、複数メーカーと共同で開発してきた。

今回の導入試験では、異常検知システムと特殊信号発光機を連動させる。特殊信号発光機(画像↑↑↑)は、列車に停止信号を出し、踏切の異常を知らせる表示装置。

これまで人道踏切(※)内に人が取り残された場合、居合わせた人による非常ボタン押下が、列車に異常を知らせる確実かつ唯一の方法だった。

今回、導入する「踏切滞留AI監視システム」と「3D画像解析踏切監視システム」は人の検知性能に優れているほか、従来の支障検知装置と比較して容易かつ安価に設置することができるため、踏切のさらなる安全性向上が期待できる。

西武鉄道では、今年度実施する導入試験の結果を踏まえ、2022年度以降の本格導入をめざし、踏切の安全対策強化を推進していくという。

※人道踏切……おもに人や自転車が通行する小規模な踏切で、自動車は通行できないタイプ。

画像:西武鉄道