鉄鉱石を盛んに採掘していた時代、鉱山にはアリの巣のような採掘場にむけてレールが敷かれ、その上を小さな機関車がけん引するトロッコ列車が走っていた。

時刻表に載っていない鉱山鉄道路線網が、各地に張り巡らされていた。

そんな鉱山鉄道もいま変革期をむかえている。岩手県釜石市にある釜石鉱山もそのひとつ。

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鉄鉱石を150年以上にわたり産出してきた釜石鉱山はいま、岩盤から湧き出るミネラルウォーター「仙人秘水」を採水し、新たなビジネスを展開中。

この釜石鉱山では、バッテリーロコと呼ばれる電気トロッコ列車が往来していた。

そのトロッコ軌道をはがし、新たな移動手段として投入されたのが、ヤマハのランドカー(画像:ヤマハ)。

ゴルフ場などで活躍するカートから派生し、いま各地の移動課題を解決するモビリティとして注目を集めている。

たとえば、釜石鉱山にあった見学用トロッコ列車は1両12人乗り。3両編成で最大36人まで乗れた。

このトロッコ列車用のレールをはがし、バッテリーカーが走れる路面を整備し、ルート上に電磁誘導線を設置。ヤマハランドカーが自動走行できるように更新した。

電源は、湧水による24時間発電の電力を活用。坑道という閉ざされた空間を、できるだけクリーンに保つことにも貢献しているという。

―――このゴルフカートから派生した電動小型低速車などは、こうした鉱山などのほか、通常の街なかでもみかけるようになった。

たとえば、京急電鉄と横浜国立大学による「産学連携の協力推進に係る協定」と、横浜市と京急電鉄の「京急沿線(横浜市南部地域)における公民連携のまちづくりの推進に関する連携協定」というふたつの協定にもとづき、日立製ゴルフカートベースの電動小型低速車が、京急富岡駅の西エリアを実験的に走った。

この実験エリアは、急坂が連続する住宅地で、足腰が弱い高齢者などの日常の足となりうるかどうかなどをテスト。ドライバーは京急文庫タクシーの現役タクシードライバーが担って実験が行われた。