東海道新幹線を走るN700S・N700A(N700系にN700Aの機能の一部を追加した車両は除く)は、クルマの車検にあたる全般検査(全検)と台車検査(台検)を従来の検査周期よりも延長させる。

浜松工場(静岡)で行われる全般検査は、主要部品を取り外し、車両の細部全般にわたって行う検査で、これまで検査周期が「120万キロまたは36箇月以内」だったのを、「160万キロまたは40箇月以内」に延ばす。

また鳥飼車両基地(大阪台車検査車両所)で行う台車検査は、台車を解体して、台車の細部全般にわたって行う検査で、これまで検査周期が「台車検査 60万キロまたは18箇月以内」だったのを、「80万キロまたは20箇月以内」に延ばす。

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検査周期延長は、ことし4月以降に投入するN700Sに適用。その後、2026年度末までにすべてのN700S・N700Aに適用していく。

この検査周期延長で、車両を営業運行に充当できる期間が増え、全体として車両運用に余裕が生じ、柔軟な車両運用が可能に。

また、すべての車両に新しい検査周期が適用されたさいには、検査に必要な人員を減らすこともできるほか、部品の交換数量が削減できることなどで、年間約40億円のコスト減少が見込まれる。

今回の検査周期延伸にあわせ、全般検査で実施しているモーター部品の潤滑材交換を台車検査でも実施するなど、一部の検査を強化する。

最適な検査体制をめざして

東海道新幹線では、走行距離や期間に応じて車両の検査を計画的に実施。安全性を高めた新型車両の積極的な投入や、走行中の車両データの監視体制の確立などで、車両故障の件数を減少させるとともに、故障の未然防止を図るなど、より高い信頼性を実現してきた。

このような高い信頼性が実現できたことを踏まえ、効率的な業務執行体制を構築する「業務改革」の一環として、最適な検査体制をめざし、全般検査と台車検査の検査周期を延伸すべく取り組んできた。

そして今回、過去の検査・修繕実績、実際に検査周期を延伸させた車両での検証により、安全性を確認できたことから、これら検査の周期を延伸することにした。

◆EF64 電気機関車が最後の全検、現役引退まであと……
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