小田原ワーケーションのワークプレイスと専用サイトイメージ(画像:小田急電鉄)

コロナ禍で停滞する社会にあって、鉄道事業者に期待されるのは沿線の魅力を発信して交流を促す役割。小田急グループから発信された、地域振興の話題2題――。

小田急電鉄は2022年3月1日から、神奈川県小田原エリアの魅力を再発見するプロジェクト「小田原ワーケーション」の実証実験に取り組む。5月31日までの3カ月間、専用サイトを開設。小田原線(本線)終点の神奈川県小田原市に、レジャーと仕事をミックスしたワーケーション客を誘致する。事業には小田原市と地域事業者・団体が協力する。

箱根への通過点のイメージが強い小田原だが、相模湾の海と足柄の山があり、小田原城をはじめ歴史資源も豊富。専用サイトでは、観光メニュー「体験コンテンツ・イベント」、コワーキング施設を紹介する「ワークプレイス」情報を集約して発信する。海辺散策や地域名産のかんきつ・片浦レモンの収穫体験、小田原かまぼこ通りのまち歩きツアーと、体験メニューを数多く用意する。

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ワークプレイス情報は、市内18カ所のワークプレイスの空席情報などを、凸版印刷の「nomachi(ノマチ)」で知らせる。小田急は参画事業者や団体を増やし、〝小田原ワーケーション〟の浸透を図る。

小田急グループの地域振興策、もう一つは小田急リゾーツが、静岡県御殿場市の「HOTEL CLAD(ホテルクラッド)」と日帰り温泉「木の花の湯」発で乗り出した、地域産品の和紅茶の商品化を一般から資金調達で実現する、クラウドファンディング(クラファン)のプロジェクト。

ホテルと日帰り温泉は、日本最大級のアウトレットモール「御殿場プレミアム・アウトレット」の敷地内にある。商品化を目指すのは、「Gotemba Time Tea(御殿場タイムティー)」で、2022年2月22日から、クラファンサイト・CAMPFIRE(キャンプファイア)を通じて支援を募ることにした。

御殿場は外国人に人気の箱根や富士山観光の入り口だが、コロナで来訪者は落ち込み、地域関係者は苦戦を強いられる。小田急リゾーツは、観光に来られなくても旅行気分を味わってもらう手法として、クラファンに着目した。プロジェクト期間は2022年3月31日までで目標額280万円。支援者には同年5月以降、商品化された御殿場タイムティーを発送する。

木の花の湯から遠望する富士山と御殿場タイムティーの商品イメージ(画像:小田急リゾーツ)

記事:上里夏生