割安な運賃でファミリーの視線を鉄道に、JR西や上毛電鉄の例も

北陸新幹線E7系・W7系イメージ(写真:ヒロキ / PIXTA)

鉄道の子ども運賃は原則大人の半額ですが、例外もあります。例えば、JR西日本が2021年末に発売した「冬休み『お子様1000円』ファミリーきっぷ」。小学生の子連れファミリーが対象で、山陽新幹線と在来線の北陸線、一部の北陸新幹線について、JR西日本のインターネット予約サイトから期間・席数を限定して売り出しました。

きっぷの名称通り、子どもは一律1000円。例えば、大阪市内―博多間を利用する場合、通常は大人1万5600円、子ども7790円のところ、ファミリーきっぷは大人1万4040円、子ども1000円で、1万6700円割安になります。

大人2人(パパとママ)、小学生2人のファミリーを考えましょう。大阪から博多に帰省する場合、普通なら4万6780円運賃・料金がかかります。ところが、「冬休み『お子様1000円』ファミリーきっぷ」なら3万80円ですみます。パパとママが交代でハンドルを握ってマイカー帰省しようと考えていたファミリーも、「3万円なら新幹線で帰ろう」と思うかもしれません。

走っているのは知っていても乗ったことはない

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もう一つ、私の知る実例を。群馬県の地方鉄道・上毛電気鉄道(上電)は毎年1月3日に前橋市の大胡電車庫で開く新春イベント(2021年、2022年はコロナで中止)当日、子ども運賃を無料にしました。

上電の考え方を、古澤和秋社長に取材したことがあります。群馬は地方都市の例にもれずマイカー王国。普段は親のクルマで出かけるので、電車が走っているのは知っていても、乗ったことがない子どもが一定数います。でも無料なら、「お父さん、きょうは電車で行こうよ」となったりします。

小田急は地方鉄道はありませんが、郊外エリアでは「日常のお出かけはマイカー」のファミリーも多いはず。子育て応援ポリシー、沿線に暮らすファミリーも、鉄道会社の小田急も、ともに笑顔になるWinWinの利用促進策といえるでしょう。

記名式PASMO利用でポイントがもらえる新サービスも

ラストはファミリーに限りませんが、電車で出かけたくなる小田急のおトク情報。同社は2022年4月1日から、「小田急おでかけポイント」のサービスを開始しました。コロナ禍のニューノーマル(新しい生活様式)をうけた、定期券を持たない通勤スタイル、さらには子どもIC運賃50円にも連動する利用促進策です。

小田急ポイントカードでの利用時にポイントを付けます。大人ポイントは同一月内・運賃区間の利用が対象で、乗車回数ごとに0.5~12%と付与率を変えます。特典を受けるには、小田急のサービスサイト「ONE(オーネ)」への会員登録とPASMO登録が必要です。

小田急は新サービスをアピールしようと、2022年4月1日から9月30日まで「おでかけポイント始まる!キャンペーン」を展開。「小田急おでかけポイント」登録で200ポイント、登録後同一月内・運賃区間2回以上乗車すると、1000ポイントなどを加算します。

記事:上里夏生