「黄電復活」応援プロジェクトのキービジュアル(画像:名古屋市交通局)

インターネットを利用して、いろいろな活動の資金を一般からつのるクラウドファンディング(CF)。鉄道の世界でも、ファン注目の企画を実現するため、CFを活用する事例が増えている。

名古屋市交通局は、1957年の市営地下鉄開業時から約40年間にわたって地下鉄のシンボルカラーだった、黄色のボディカラーの車両を復活させるプロジェクトを立ち上げ、必要な資金をCFでつのっている。

名古屋の市営交通は2022年8月1日が100周年の節目で、愛称名〝黄電(きいでん)〟の再現運転は記念事業の目玉。名古屋市交通局によると、公営地下鉄がCFを実施する事例は全国初めてで、募集期間は2022年6月30日まで。

ADVERTISEMENT

黄電は、電車が地下でも明るく見えるようにと、デザイナーを務めた名古屋市出身の画家・杉本健吉さん(故人)が発案した。正式な呼び名は「ウィンザーイエロー」。

名古屋市営地下鉄は、東山線名古屋―栄町(現在は栄)間が最初の路線。黄電はその後、名城線・名港線にも広がったが、2000年4月までに全車両が引退した。

プロジェクトで復活する黄電ラッピング車は、2022年8月初旬に東山線と名城線・名港線に各1編成が登場する予定。CFの目標額は1700万円。公営の鉄道という名古屋市交通局の特徴を生かし、自治体のふるさと納税サイトのガバメントクラウドファンディングを利用し、特設のプロジェクトページで受け付ける。

名古屋市交通局は、資金提供に協力した人全員に、100周年記念オリジナルボールペンを進呈。1万円以上寄付すると、復活黄電の車内に、市町村名までの住所と名前(ハンドルネームや匿名もOK)をポスターで紹介する。

さらに5万円以上の寄付では、2022年10月に愛知県日進市の日進工場での開催を予定する、イベント「地下鉄工場見学会」に抽選で招待する。

また、名古屋市交通局は市営交通100周年をアピールしようと、名古屋、栄、金山の3駅に100周年までの残り日数を電光表示したカウントダウンボードを設置。鉄道ファンや一般市民にボードをバックにした写真を撮ってもらい、SNSへの投稿などで市営交通をアピールする。

100周年までの残り日数を示すカウントダウンボードと、同じデザインのポスター=イメージ=(画像:名古屋市交通局)

記事:上里夏生