地域の未来を切り拓く只見線

只見線沿線自治体は「只見線にみんなで手を振ろう条例」を制定、乗客に感謝の気持ちを伝えます(資料:福島県の「あいづの今」パネル展示から 画像:福島県金山町)

福島県はなぜ、財政負担してまで只見線を復旧させたのか。福島県生活環境部只見線再開準備室が事務局を務める、只見線利活用プロジェクトチームが2018年3月にまとめたリポート「只見線利活用計画」には、地元の鉄道復活に託す思いがあふれます。

リポートのサブタイトルは、「ここにしかない、ヒト、モノ、コト、イロを活かし、地域の未来を切り拓く―只見線135.2kmの挑戦」。本文にいわく、「只見線は秘境をめぐるローカル線として人気が高く、車窓からの絶景は多くの旅行者に愛されています。只見線の魅力は、海外にも伝わり、インターネット上では『福島の只見線は世界で最もロマンチックな鉄道』と絶賛されます(大意)」。

鉄旅オブザイヤーでグランプリ

私は観光・旅行のプロが只見線を観光資源化した、こんなニュースを思い出しました。鉄道利用の魅力的な旅行商品を顕彰する「鉄旅オブザイヤー2018」。応募104件から最優秀賞のグランプリには、読売旅行の「JR只見線全線復旧決定祈念!世界一ロマンチックな鉄道で1000人結婚式を!」が選ばれました。

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復旧祈念列車は、JR東日本のトロッコ風気動車「びゅうコースター風っこ」を使ったブライダルトレイン。運転当日は4組が車内結婚式を挙げ、読売旅行は特製花見弁当などの特典を付けてツアーに仕立て、1000人を集客しました。

鉄道ファン目線の只見線は、会津桧原―会津西方間の第一只見川橋りょうが日本の絶景橋りょう上位にランク。線区全体として情報サイトの「紅葉の美しい鉄道路線」第1位に選ばれるなど、人気の高い線区です。

只見線の定番絶景スポット、会津桧原―会津西方間の第一只見川橋りょうを渡る列車(写真:kazukiatuko / PIXTA)