一般財団法人・経済広報センターが制定する、38回目の「企業広報大賞」が2022年8月2日に発表され、最優秀賞の企業広報大賞に小田急電鉄が選ばれた。

「コロナ禍で企業を取り巻く経営環境が厳しさをます中、鉄道需要の回復と、社会課題である少子高齢化への対応を強化する観点から、子育て支援をはじめとする情報発信を効果的に実施し、鉄道事業者としての子育てしやすい沿線を目指す理念を広く浸透させた(大意)」が主な表彰理由。

具体的な取り組みが、2022年3月12日のダイヤ改正にあわせて実施された「子どもICカード運賃全線一律50円」。〝子ども50円〟は、鉄道ファンだけでなく社会的にも大きな反響を呼んだが、前提になったのが2021年11月に策定した子育て応援ポリシーだ。

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子育てファミリーを応援する企業指針は、子育てに思いを持つ社員が中心になってまとめたもの。子ども運賃の実質値下げや均一化は、小学生の鉄道利用を促進する狙いも大きい。

経済広報センターは、小田急の活動を「地域の企業や団体、自治体などに共感され、各地で同じ考え方の子育て支援策が始まるなど、社会問題の解決に向かう経営ビジョンが広まった点」を高く評価した。

日本経済団体連合会(経団連)の関連機関・経済広報センターは1978年に設立。1984年に企業広報賞を制定している。

鉄道業界からはこれまで、2001年にJR東海、2002年にJR東日本、2003年に京王電鉄、2010年に東武鉄道、2012年にJR九州がそれぞれ企業広報大賞を受賞している(JR東海とJR東日本は名称変更前の「優秀賞」を受賞)。

記事:上里夏生