2021年に登場したメトロ有楽町線・副都心線の新鋭17000系電車。延伸開業は10年以上先なので断定はできませんが、おそらく分岐線を走るでしょう(写真:鉄道チャンネル編集部)

東京メトロ有楽町線の延伸事業が、いよいよ具体化に向けて動き出しました。都と東京メトロは2022年8月21~25日、江東区内4カ所で地元向けの都市計画素案説明会を開催、延伸線のルートや新駅の位置を明らかにしました。

延伸線は有楽町線豊洲駅で分岐し、東西線東陽町駅を経て半蔵門線住吉駅にいたる約5.2キロ(駅間営業キロ。建設区間は約4.9キロ)の地下鉄道新線です。本コラムでは、延伸事業の概要とともに有楽町線の生い立ち、延伸線建設の意義などを考えたいと思います。

1974年に開業、1988年までに全線開通

最初に、メトロ有楽町線のプロフィール。路線は、和光市(埼玉県和光市)―新木場(江東区)間28.3キロです。和光市―小竹向原間は、同じメトロの副都心線と線路を共有します(小竹向原で副都心線を分岐)。

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交通政策審議会の前身にあたる都市交通審議会(都交審)の路線番号では、小竹向原―新木場間が8号線、和光市―小竹向原間が13号線。現在は全線を8号線・有楽町線と称するようです。最初の開業は1974年10月の池袋―銀座一丁目間。1988年6月までに和光市―新木場間の全線で営業運転を開始しました。

東武東上、西武有楽町線と相直

有楽町線は東京の地下鉄らしく、多くの路線と接続。和光市で東武東上線、小竹向原で西武有楽町線(池袋線の分岐線)と相互直通運転、池袋でメトロ丸ノ内、副都心線、JR線、東武東上線、西武池袋線、東池袋で都電荒川線(東京さくらトラム東池袋4丁目停留場)、飯田橋でメトロ東西、南北線、都営大江戸線、JR線に乗り換えられます。

市ヶ谷―新木場間では、市ヶ谷でメトロ南北線、都営新宿線、JR線、永田町でメトロ半蔵門、南北線(銀座線と丸ノ内線の赤坂見附にも改札内で連絡)、有楽町でメトロ千代田、日比谷線(日比谷)、都営三田線(日比谷)、JR線、銀座一丁目でメトロ銀座、日比谷、丸ノ内線(銀座)、新富町でメトロ日比谷線(築地)、月島で都営大江戸線、豊洲でゆりかもめ、終点の新木場で東京臨海高速鉄道りんかい線、JR線に接続します。

1972年には豊洲―住吉間地下鉄線の構想があった!!

ところで、豊洲―住吉間の分岐線(都の資料に「メトロ有楽町線の分岐線〈豊洲―住吉間〉」とあるので、本コラムも分岐線と表記します)、いつごろから構想があったのか。1962年の都交審答申に中村橋から錦糸町をつなぐ新線が登場します。江戸川橋―飯田橋間の1駅間だけですが、これが有楽町線のルーツのようです。

話は飛んで(といっても10年後ですが)、1972年の都交審答申には、豊洲―東陽町―住吉町―押上間が追加されました。お気付きの方も多いと思いますが、追加区間のうち住吉町(住吉)―押上間はメトロ半蔵門線として開業済み。当時、半蔵門線の発想はなく、有楽町線を分岐させる計画でした。

つまり分岐線のルートは、1972年には考えられていたわけです。見出し風に表現すれば、「半世紀来の悲願 メトロ有楽町線の分岐線 いよいよ建設へ」になるのかもしれません。