かもめから乗り継ぎたい地方鉄道 その1・島原鉄道

島原鉄道の車両(写真:tooru / PIXTA)

ここから鉄道ファン目線での西九州新幹線。「『かもめ』から乗り継ぎたい鉄道」として、2つの地方鉄道を取り上げます。

一つ目は諫早を起点に、島原半島の海岸線を周回して運行される島原鉄道。現在の路線は島原港までの43.2キロですが、2008年までは島原港から35キロほど先の加津佐まで線路が延びていました。

2008年まで島原鉄道の終着駅だった加津佐。駅近隣には海水浴場などがあります(写真:カツノリング / PIXTA)

島原鉄道は明治年間の1911年、本諫早―愛野村(現愛野)間が開業しました。この時、列車をけん引したのは国鉄(鉄道院)から譲り受けた1号機関車。のちに国鉄(鉄道省)に返還され、現在はさいたま市の鉄道博物館で保存・展示されます。

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西九州新幹線開業にあやかれと、島原鉄道はさまざまな関連商品を企画発売します。島原鉄道に乗車後は、沿線の島原港または多比良港から熊本港、長洲港にフェリーで渡るのも旅のバラエティーを豊かにします。熊本から九州新幹線に乗車すれば、九州の2つの新幹線を乗り比べできます。

かもめから乗り継ぎたい地方鉄道 その2・松浦鉄道

松浦駅に並ぶ松浦鉄道のMR-600形車両。松浦駅の1933年の開業から1959年までの駅名は「志佐(しさ)駅」でした(写真:うげい / PIXTA)

国鉄の特定地方交通線・松浦線を第三セクター転換した松浦鉄道は、長崎、佐賀の両県にまたがる西九州線(有田―伊万里―たびら平戸口―佐世保間93.8キロ)を運行します。西九州新幹線と直接の接続はありませんが、有田(佐世保線)、伊万里(筑肥線)、佐世保(佐世保線)の3駅で、JR在来線に接続します。

沿線は有田焼と伊万里焼の焼き物、松浦のアジフライ、平戸城など観光資源が豊富。鉄道ファン的には「日本最西端の駅・たびら平戸口」、レトロ車両で今年に入って改装を受けた「レトロン号」、広報担当の鉄道むすめ「西浦ありさ」といった話題があります。

本土最西端の駅・松浦鉄道たびら平戸口駅(長崎県平戸市)。2003年の沖縄都市モノレール(ゆいレール)開業までは日本最西端の駅で、現在も駅前には碑があります(写真:kazu / PIXTA)

西九州新幹線と島原鉄道と

最後は、本コラム執筆で見つけた西九州新幹線と島原鉄道の接点。JR九州の西九州観光まちづくりAWARDで、審査委員を務めた女優の宮崎香蓮さん。出身は長崎県島原市で、祖父は島原鉄道の役員を務めるとともに歴史研究家や作家として活躍した宮崎康平氏(1980年死去)です。

以上で、西九州新幹線のサイドストーリーは完結。JRグルーブ旅客6社と佐賀・長崎の両県などは2022年10~12月の3カ月間、大型観光キャンペーン「佐賀・長崎デスティネーションキャンペーン」(佐賀・長崎DC)を展開します。新幹線初乗りを計画中の皆さん、魅力たっぷりの西九州を存分にお楽しみください。

記事:上里夏生