撮り鉄ならぬ「鳥鐵」で誘客図る

JRの後は、地方鉄道のブースを訪問しました。鳥取県ブースで見つけたのは「鳥鐵ノススメ」のパンフレット。撮り鉄に引っかけて鳥取の鉄道を売り込む、同県観光連盟が編み出した誘客作戦です。鳥取を走る鉄道は山陰、因美、伯備、境のJR4線と、第三セクターの若桜鉄道、智頭急行です。

若桜鉄道隼駅はライダーの聖地。毎年8月には全国のライダーが集う、「隼駅まつり」が開催されるそう(2020年からはコロナ禍で中止または延期。復活が待たれるところです)。国鉄時代からの木造駅舎は国の登録有形文化財です。

列車へのフラッシュ撮影は厳禁

さて、鳥鐵に注目したのは冊子の巻頭に鉄道ファンのマナーが掲載されていたから。「車内では周辺の乗客に配慮」、「ホームでは黄色い線の外側にはみ出さない」は社会人の常識として、「人物を撮影するときは必ず許可を取って」、「列車へのフラッシュ発光は厳禁」は、撮影に夢中だとなかなか意識できないかもしれません。

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撮り鉄の方がSNSにアップした写真を見て、新たなファンが沿線を訪れる。鉄道会社とファンが、そんなWinWinの関係になれば、鳥鐵の目的も十分に果たされるでしょう。

クラファンで「オホーツク鉄道歴史館」開設

続いては、直接の鉄道ではありませんが、北海道北見市に「オホーツク鉄道歴史記念館」開設を目指す、NPO法人・オホーツク鉄道歴史保存会の活動。個人から引き継いだ本物の国鉄車両は、ディーゼル機関車のDD14、ラッセル車のキ754、郵便車(客車)のスユ15、車掌車(貨車)のヨ4674など全部で7両。車両は2006年に廃止された、三セク・北海道ちほく高原鉄道の線路脇で保存されます。

NPOは、クラウドファンディングで開設資金を調達・募集。クラファンは数回にわたり実施するそうなので、活動を応援したい方は会のホームページをのぞいてみてください。

JR北海道と北海道観光振興機構のキャッチフレーズは「HOKKAIDO LOVE」。JR北海道は企画きっぷ「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」などを発信しました(筆者撮影)

日本の鉄道はまだまだ元気いっぱい

ラストは、滋賀県の近江鉄道。西武グループのブースで情報発信されました。同社は米原から多賀大社、近江八幡、貴生川まで琵琶湖東岸が事業エリアで、自転車を持ち込めるサイクルトレインなどで地域観光振興に貢献します。

ツーリズムEXPOの出展者は多数にのぼり、取材したものの本コラムで紹介できなかった鉄道会社が多数あったことをお許しください(一部は写真で紹介させていただきました)。会場で感じたのは、「日本の鉄道はまだまだ元気いっぱい」。本コラム、そしてツーリズムEXPOが、ファンの皆さんの豊かな鉄道ライフにつながることを願ってビッグサイトを後にしました。

ツーリズムEXPOへの直接の出展はありませんでしたが、JR東海は2022年9月23日から観光キャンペーン「いざいざ奈良」の新しいテレビCMを放映。俳優の鈴木亮平さんが世界遺産・吉野を訪れるコンセプトで、奈良県ブースでも新CMに期待する声が聞かれました (C)JR東海
日観振が開設した「鉄道開業150年記念ブース」。魅力的な地方ローカル線の情報を集約・発信しました(筆者撮影)
旅行会社では、鉄道旅行を得意にする日本旅行ブースに要注目。最終日は女子鉄アナウンサーの久野知美さんが環境特性に優れた鉄道旅行の楽しさを語りかけました(写真:日本旅行)

記事:上里夏生