「鉄道唱歌を口ずさんだことも」

鉄道開業150周年記念式典に出席された天皇陛下と雅子さま(代表撮影)

「鉄道開業150年を記念する式典に、皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

150年前の明治5年、日本で最初の鉄道が、新橋―横浜間に開業しました。明治維新以降、近代国家への道を進みつつあったわが国は、大きな喜びと期待に満ちあふれたことでしょう。

私自身、子どもの時から、おりに触れ鉄道を利用してきましたし、小学生のころ、鉄道唱歌の一節を口ずさんだことも懐かしい思い出です。

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鉄道は、人々の交流や物流を支える大切な輸送手段の一つで、輸送量当たりの二酸化炭素排出量の少ない、環境への負荷が小さい交通機関としても注目されています。鉄道の安全性や利便性を向上させ、将来の世代につなげていくことは、重要なことと考えます。

鉄道に関係する皆さんのたゆみない努力が実を結び、わが国の鉄道が難しい状況を乗り越え、引き続き人々に親しまれながら、暮らしと経済を支えていくことを期待します」

「新しい技術を掛け合わせ社会的使命果たす」

記念式典で鉄道業界代表として決意表明する深澤JR東日本社長(代表撮影)

続いて、村井英樹内閣総理大臣補佐官(岸田文雄首相代理)、戸倉三郎最高裁判所長官らがそれぞれ祝辞を述べました。

これを受けて鉄道業界からは、式典実行委員長を務めたJR東日本の深澤祐二社長が「明治から令和まで、5つの時代を経た鉄道の伝統と使命を次の世代につなぐとともに、デジタルなど新しい技術を掛け合わせることで、街づくりや観光振興、脱炭素化などの分野でも社会的使命を果たしていく。鉄道のさらなる発展に力を尽くすことを誓います」と決意表明しました。

ネットメディアが「鉄道開業150年」を後世にアーカイブする

後段の「鉄道の日祝賀会」に移る前に、鉄道開業150年を取材して感じたことを一節。前回の節目といえば、「鉄道開業100年」の1972年でしょうか。

この年、国鉄は京都市に「梅小路蒸気機関車館」(現在の京都鉄道博物館の前身です)を開館、鉄道技術研究所(こちらは鉄道総研の前身です)のリニアモーターカーが初めて浮上走行に成功しました。

振り返れば当時の国鉄は、赤字体質が定着しつつあったのですが、当事者としてどのように立ち向かったのかは調べてみてもよく分かりません。当時のメディアはテレビ・ラジオと新聞・雑誌だけで、情報量も十分とはいえませんでした。

それに比べると、今はネットメディアが定着して日々の細かい情報まで伝えます。次の大きな節目は、「鉄道開業200年」の2072年でしょうか。

その時、開業150年の記録がアーカイブされていることは、必ず役立つはず。本サイトのようなネットメディアは、日々のニュースをファンの皆さんにお伝えするとともに、鉄道の記録を後世に橋渡しする役目を受け持っているように感じました。