当時の姿を再現、定刻に音がなる仕組みも

2022年4月に撮影された修復前の姿(写真:西武鉄道)

403号機関車の保存展示にあたり、西武建設の助力を受け、横瀬車両管理所で徹底した補修整備が施されました。除幕式の配布資料などによりますと、失われていた製造銘板とナンバープレートを復元して取り付けるだけでなく、ユネスコ村時代に取り付けられたという独特な形状の前照灯(ケースのみ)と標識を撤去し、当時のオイルランプを模した前照灯を設けているということです。

2022年9月、製造銘板やナンバープレートが取り付けられました(写真:西武鉄道)

運転室内には失われていた圧力計と水位計を設置し、運転室前の汽笛や後ろ側連結器も取り付けました。機関車は全体的に外板の劣化が進行しており、徹底的なハツリと再塗装を実施。痛みが激しい部分は撤去した上で新たにステンレス板を取り付けているそうです。

2022年5月、汚れや錆の除去作業を行う様子(写真:西武鉄道)
2022年8月には芝浦工業大附属中高鉄道部による塗装イベントも行われています(写真:西武鉄道)
2022年9月、運び出しの様子。移動設置の予定日は台風14号が関東を直撃するという予報でしたが、9月19日の新豊洲設置時には奇跡的に台風が去ったそうで、無事横瀬から新豊洲の地へと運び込まれました(写真:西武鉄道)

展示の見所は機関車のみではありません。港区教育委員会とJR東日本からは高輪築堤築石の寄贈を受け、機関車展示土台に使用しています。明治期の姿に戻った機関車と高輪築堤は親和性も高く、鉄道開業当時の姿に思いを馳せられるようです。

ADVERTISEMENT

さらに、博物館明治村の協力のもと、動態保存されている蒸気機関車9号の汽笛と走行音を採音。これを一体的な音源として加工し、毎日12時と17時に定刻再生する機能も備えます。12時は「午後も頑張ろう!」という元気の良い音調、17時は「そろそろ家に帰りましょう」という音調になっているそうです。

記事:一橋正浩