TXやJR羽田空港アクセス線と接続!?

事業計画案のラストに、今後の検討事項として①TXとの接続、②羽田空港との接続――の2項目が記載されます。

臨海地下鉄線の計画が初お目見えしたのは、国の交通政策審議会(交政審)が東京圏の鉄道ネットワークの将来像を示した2016年の答申第198号です。答申では現在は秋葉原止まりのTXを東京駅まで延伸、東京から臨海部へ新線を整備する形で、臨海地下鉄線の計画が示されました。

臨海地下鉄線構想がはじめて示された交政審答申。TXの延伸線になる秋葉原―東京間は実線、東京―銀座―臨海部は答申時点では事業者が未定のため点線で記載されています(資料:交通政策審議会)

答申を見返すと、東京駅から先はTX(運営会社の首都圏新都市鉄道)とは別の事業者が運営すると読めます。

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交政審に従えば、東京都は今回、「別の事業者」部分の整備構想を公表しました。秋葉原―東京間はTXが整備(建設)、臨海地下鉄新線は東京でTXと相互直通運転するのが自然な流れのように思えます。

2005年に開業したTXは、首都圏の鉄道新線では珍しく他の鉄道との相直なしで運行してきたわけですが、鉄道ファンにすれば臨海地下鉄線と相直するのか気になるところ。

若干マニアックな視点では、TXの守谷―つくば間は交流電化で、屋根上に交直流対応の機器類を搭載した電車が東京の地下鉄を走る可能性もありそうです。

有明・東京ビッグサイトで接続して羽田空港へ

今後の検討課題としたTXやJR羽田空港アクセス線との接続(資料:東京都の事業計画案)

ラストは、JR羽田空港アクセス線との接続。空港アクセス線は、東京貨物ターミナルから西山手、東山手、臨海部の3つのルートに分かれ、このうち臨海部へは、りんかい線に接続して向かいます。

JR東日本が東山手ルートを先行させる中では、実現はかなり先になると思いますが、つくば~秋葉原―東京―有明・東京ビッグサイト~羽田空港のルートが設定される可能性もあることは記憶しておいていいでしょう。

最後に東京都の最近の鉄道整備の考え方を考察しようと思ったのですが、スペースが尽きたため別の機会に回させていただきます。2023年に臨海地下鉄線がどのような形で進行するのか、期待を持って見守りたいと思います。

記事:上里夏生