東急電鉄1000系の鉄コレが参考に

鉄道ファンや鉄道メディアは、同じ場所を並行する鉄道会社同士があたかも競い合っているように表現することがあります。とはいえ、それはあくまで経営上の事柄。実際のところ会社間の横のつながりは多く、今回の800形の鉄コレ化でも、そうしたつながりが助けになったと飯田さんは明かします。

「東急さんと総合車両製作所さんで(東急電鉄)1000系のバリエーションが4つくらい出ていたと思うんですけども、あれを参考にさせていただきました。総合車両の担当の方とも仲良くさせていただいているので、今回制作するにあたりお知恵を拝借したり、ご相談に乗っていただき、販売方法なども参考にしています」

東急電鉄・総合車両製作所から事業者限定品として発売された「鉄道コレクション 東急電鉄1000系」(2021年発売)には、通常カラー、1500番台、「緑の電車」「きになる電車」の4種類がありました。これらは車体だけでなく、パッケージも全て異なるデザインになっています。このように、800形の製作にあたっては、他社から発売した「鉄道コレクション」が参考になったとのことでした。

今後の展望は……

最初の話にもあった通り、すでに他社が江ノ電車両を多数製品化していることと、「鉄道コレクション」での連接車の動力化が難しいため、江ノ電としては、今後の「鉄道コレクション」への展望は今のところ考えていないとのこと。

800形発売以降も企画を続けたいかどうかに関しても「半々ですね。どの車両にするのかっていうのが選びきれないというところと、(続けるとしても)何ができるのか。あとはトミーテックさんとの兼ね合いもあるので何とも言えないですね。まずはこの800形の売れ行きを見守ることですかね」との回答でした。

それだけに、今回の800形に関しては、完成品のNゲージ鉄道模型ではどのメーカーも製品化していなかったこと、実車が40~50年前の古い車両であること、トミーテックが発売している動力ユニットにも適合することから、偶然にも「鉄道コレクション」のラインナップに向いていたのかもしれません。

800形は、「鉄道コレクション」には十分マッチした車種ではないかと思われる

江ノ島電鉄オリジナル商品「鉄道コレクション 江ノ島電鉄800形」は、江ノ電標準カラー・「チョコ電」カラーの2種類で発売予定。価格は各4,200円。先行販売会が12月17日~19日に開催されますが、そこでの購入には事前申し込みが必要です(各回50名まで、全開催回中1回のみ参加可能)。店頭販売および通信販売に関しては、準備ができ次第の案内となります。

もちろん、江ノ電のNゲージとしてコレクションに加えることもできますが、江ノ電に渡ってくる前の山梨交通や上田丸子電鉄にちなんで、江ノ電とは異なる車両と並べてみるのも、また違った楽しみがあるのではないかと思います。