北海道札幌市の苗穂工場で製造された、キハ183系「ノースレインボーエクスプレス」――

好景気に沸いた1980年代後半、北海道ではリゾート開発やスキーブームが盛り上がり、鉄道車両にも「楽しめる移動手段」としての役割が求められるようになりました。国鉄時代末期の1985年には、キハ56系を改造したリゾート列車「アルファコンチネンタルエクスプレス」が登場。その後も「フラノエクスプレス」「トマムサホロエクスプレス」「ニセコエクスプレス」「クリスタルエクスプレス」と続き、1992年に末っ子たる存在の「ノースレインボーエクスプレス」がデビューを果たします。

登場当初は3両編成で、臨時特急「はこだてエクスプレス」として運転を開始。同年12月にはライトグリーンの帯をまとう2階建て車両「キサハ182」も組み込んだカラフルな5両編成となり、公募で「ノースレインボーエクスプレス」の愛称が決定しました。

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ハイデッカー(高床式)ならではの展望性の良さが特徴で、側窓には曲面ガラスを採用、さらに天窓も備えます。道内を走る臨時特急に充当されるだけでなく、青函トンネルを越えて本州へ乗り入れるなど幅広く活躍しましたが、老朽化に伴い2023年春に引退することとなりました。

当時の設計やデザインの担当者が語る

JR北海道は2023年1月6日、YouTubeの公式アカウントで「【NEWS NOW】北の大地を駆け抜けたリゾートエクスプレス【JR北海道】」と題した動画を公開しました。

この動画は「ノースレインボーエクスプレス」の設計やデザインに携わった担当者から、当時の貴重な話を直にうかがったものです。前面のデザインはどのような経緯で今の形に落ち着いたのか、JR北海道で唯一残る二階建て車両ならではの設計の工夫は……さらに、赤いスポーツカーにも似た「推し案」などが公開されており、マニアックな鉄道ファンも驚くような濃い内容に仕上がっています。

(写真はJR北海道のYouTube公式動画から)