※2022年8月撮影

トップ画像は、JR四国予讃線大西駅。

筆者は勝手に““無国籍””風と呼んでいますが、和風か洋風かと言えば明らかに洋風の駅舎です。しかし洋風建築の中でヨーロッパ風なのかアメリカ的なのか、筆者に建築の知識が無いことも原因ですが、にわかに分からない一群の駅舎がありました。

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大西駅も旧国鉄時代の写真を見るとシンプルな切妻の木造駅舎でした。改修した結果が現在の姿。

※2022年8月撮影

駅は大西町役場(現・今治市役所大西支所)がある町の中心です。瀬戸内海側には大きなドック(造船所)があって筆者も乗船したことがあるフェリー「さんふらわあ」などが造られました。

同じく予讃線浅海(あさなみ)駅。この駅も国鉄分割民営化後““無国籍””風に改修されています。旧国鉄時代は、切妻屋根のシンプルな木造駅舎でした。

※2022年8月撮影

もちろん駅舎は「駅という機能が収納された容器」です。デザイン性が集客に影響する商業建築とは基本を異にします。その中で筆者は木造駅舎の味わいある佇まいに惹かれて写真を撮っています。

しかしこれらの“無国籍”風の駅舎をいくつか観て考えたのが「駅舎を現代風のデザインに変えることの意味」でした。筆者の様な老人は、古風な木造駅舎に郷愁をおぼえます。しかし、実際に鉄道利用者の多くが中高生です。彼等には「今・現在を生きている感覚=日常の美的な快適さ」がとても重要なのだと思います。古色蒼然とした駅舎よりもモダナイズされた駅舎の方が彼等の青春を明るく包んでくれることでしょう。

※2022年8月撮影

予讃線伊予北条駅は、和風木造駅舎の姿をとどめながらも明るいカラーを採用してモダナイズされています。

※2022年8月撮影

駅舎は、アルミサッシでクリアに整えられています。

※2022年8月撮影

予讃線伊予和気駅は、モダナイズというよりも装飾化されたデザインですが、なかなか魅力的な駅舎です。

※2022年8月撮影

駅舎というよりも駅舎のメインが店舗なので、商業建築という印象でした。

※2022年8月撮影

土讃線の旭駅も駅舎のメインに店舗が入店するスタイルで改修されています。

※2022年8月撮影

やはり商業建築の印象です。

※2022年8月撮影

徳島線の阿波加茂駅。上の旭駅舎と同じテイストのデザインです。

※2022年8月撮影

駅舎は店舗では無く周辺住民のコミュニティースペースに利用されています。

※2022年8月撮影

(写真・文/住田至朗)

※駅構内などはJR四国さんの許可をいただいて撮影しています。

※駅などについては『JR全線全駅』(弘済出版社/1997)、『週刊朝日百科 JR全駅・全車両基地01-60』(朝日新聞出版/2012-2013)、『山陽・四国920駅』宮脇俊三・原田勝正編(小学館/1993)、『停車場変遷大事典 国鉄 JR編1-2』(JTBパブリッシング/1998)他を参照しています。

※タイトルは『木造駅舎』ですが、厳密に「構造として木造建築」の駅舎ではなく、筆者が気に入った駅舎を恣意的に選んでいます。明らかに木造建築と異なる場合でも、煩雑を避けるためタイトルは【木造駅舎コレクション】で進行します。悪しからずご了承ください。

※鉄道撮影は鉄道会社と利用者・関係者等のご厚意で撮らせていただいています。