次世代の働き方に向けて新しいスキルを身につける「学び直し」―――リスキリング。

「2022ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされるほど注目を集めるリスキリングは、政府からも支援されるとなれば、目が離せない話題になることは確実。

2023年は企業や個人がアクションを始める「リスキリング元年」か

経済産業省は従業員のリスキリング(学び直し)を支援すべく、2022年度第2次補正予算案に753億円を計上する方針が明らかに。

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5年間では総じて1兆円を投じる予定で、一般の人が民間の専門家に相談できるように、学び直しから転職まで一貫して支援する仕組みを整え、生産性向上や成長分野への労働移動を促して持続的な賃上げにつなげたい考えだ。

こうした国の支援などを個人・企業が敏感にキャッチし、アクションを始めることから、まさに2023年は「リスキリング元年」と呼べるような1年になる気配。

リスキリングへの誤解、デジタルスキルのみでは不十分

リスキリングとは、現在の仕事で必要とされている、あるいは将来仕事で必要になるスキルを学び、習得すること。

個人が自らこのリスキリングを取り入れたり、企業が従業員に対して実施したりと、さまざまな形で広がっている。

リスキリングが必要とされる背景には、DX推進にともない、IT・デジタルに強い人材が不足している状況があるといえる。

DXを推進する現場では、AIやテクノロジーの活用を踏まえた戦略を考え、サービス・商品を生み出し、イノベーティブな価値を提供できる人材が求められる。

いっぽう、専門スキルも大事だが、それだけではビジネスは成り立たない。新たなテクノロジーをビジネスに活かすためには、考えるべき問いを立て、人を巻き込み実行するための「論理的思考力」や「問題解決力」などが必須に。

つまり、ITリテラシーやプログラミングスキルの習得は非常に重要であるが、それらの知識・スキルを活かせるビジネススキルの習得・向上も不可欠。

そこでリスキリングでは、新たなテクノロジーに関するスキル・知識とともに、それを活かせる「ビジネススキル・知識」を習得することが求められているといえる。

変化の時代を生き抜く「テクノベート」人材が求められるいま

さらに、変化の時代を生き抜く「テクノベート」人材にも注目。

テクノベートとは、テクノロジーとイノベーションを組み合わせた造語で、おもに IT に代表されるテクノロジーによって進化、あるいは変化していく新しい経営の在り方をさす言葉。

インターネット・AIなどの発展によって、ビジネス・組織の在り方やリーダーに求められる資質は大きく変わり、あらゆるビジネス領域においてテクノロジーの理解が必要となる時代がきている。

たとえば、IT を使ってビジネスの状況・情報を「見える化」し、データにもとづいて適切な意思決定を行えることが重要になっている。

また、テクノロジーをユーザー視点で捉え、実際の利用シーンに沿うプロダクトやサービスに落とし込むような能力も求められている。

「テクノロジーで何ができるかというシーズを理解しつつ、ニーズをスペックに落とす」ことができ、広い意味でのデザイン力、構想力を持った人材、そんなテクノベート人材が業種・業界問わず求められている。

テクノベート人材育成に注力するグロービス

定額制動画学習サービス「GLOBIS学び放題」などを展開し、ビジネススクールや企業内研修、出版事業などを運営するグロービスは、時代の変化をいち早く感じ取り、社会人教育に反映。2016年には経営大学院でテクノベート科目の提供を開始した。

その後も企業内研修や動画学習サービス「GLOBIS学び放題」での関連コンテンツの展開、関連書籍の出版など、これからの時代の社会人に必須のものとして「テクノベート人材」の育成に力を入れてきた。

「テクノベート人材は、これからの時代を牽引する存在に」

グロービス「GLOBIS学び放題」鳥潟幸志 事業リーダーは、テクノベート人材が求められる現状についてこう語る。

―――2023年以降、テクノベート人材はとくにどのような業界で求められるか。

「DXは、流通や小売りから医療、行政まで幅広い業界で必要性が叫ばれています。そのため、DX推進に不可欠なテクノロジー+ビジネスの力を持つテクノベート人材は、業界・業種に関わらず求められていると言えるでしょう。

また、デジタル以外でも、バイオ、ロボティクスなど、多方面でテクノロジーは進化しています。

いずれの領域でも、テクノロジーが人々の生活で価値を発揮するには、それを理解し、革新につなげていく人材が必要です。

その意味でも、テクノベート人材は、これからの時代を牽引する存在になっていくでしょう」(鳥潟 リーダー)

――― GLOBIS学び放題では、実際にどのようにリスキリングをサポートするか?

「マーケティング、会計・財務や思考・コミュニケーションなど、ビジネスの基礎となる知識・スキルに関するコースはもちろん、進化するテクノロジーの潮流や、「テクノベート」について学べるコンテンツを提供しています」

◆テクノベート・ストラテジー(前編・後編)
https://hodai.globis.co.jp/courses/4f41c435
https://hodai.globis.co.jp/courses/4125e5b0

◆AI・データ時代のビジネス~顧客価値の創り方(前編・後編)
https://hodai.globis.co.jp/courses/831db169
https://hodai.globis.co.jp/courses/f10161f0

「学び続けることへの必要性は変わらない」

―――リスキリングは、政府や企業が対策すべきことなのか?

「リスキリングによって需要の高い分野で活躍できる人材になることは、自身の市場価値を上げることになります。政府や企業による推進は必要ですが、個人が自分自身で積極的に取り組む意味は大きいです。

また、自主的なキャッチアップは、新たなテクノロジーに対して常に自分をアップデートするのに役立ちます。

さらに、”論理的思考力”といったソフトスキルや経営の知識は、業種や職種を越えて使える「ポータブルスキル」として生涯役に立ちます」(鳥潟 リーダー)

―――ビジネススキル・知識を学ぶことで、キャリアはどう変わるか?

「VUCA の時代と呼ばれる不確実性の高い現代社会においては、環境が非常に速いスピードで変化していきます。

そのため、1つの知識・スキルを身につけて終わりではなく、継続的に新たな知識・スキルを学び続ける必要があるのです。

リスキリングという言葉への注目度は変わるかもしれませんが、学び続けることへの必要性は変わりません。

個人も企業も、リスキリングを『いまをしのぐ一時的なこと』ではなく、ビジネスパーソンとして働き続けていく限り常に向き合っていくものとして認識する必要があるでしょう」

―――グロービス「GLOBIS学び放題」鳥潟幸志 事業リーダーがそう語るように、テクノベート人材が求められるいま、リスキリングのトレンドと“学び続けること”に注目だ。