北初富駅付近の高架区間を走る新京成列車(写真:新京成電鉄)

千葉県の新京成電鉄は2023年2月17日、旅客運賃の上限変更認可を国土交通大臣に申請した。実施予定は2023年10月。

現在の普通運賃は147~262円(ICカード利用の場合。きっぷ購入では150~270円)で、申請通り認可されれば全区間一律20円値上げされる。

増収率は定期外11.7%、定期13.1%で、全体では12.4%。前回の運賃改定は1995年10月(消費税増税時を除く)で、約28年ぶりの運賃値上げだ。

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京成津田沼ー松戸間26.5キロを結ぶ、新京成の輸送人員のピークは1994年度の約1億1700万人で、2005年度には約9800万人になったものの、2019年度には約1億400万人まで回復している。

しかし、2020年初からの新型コロナでは利用客数が大きく減少。鉄道部門の営業収支は、2020年度から3年連続での赤字が見込まれる。こうした状況を受け、現在の運賃水準を維持することは困難と経営判断した。

この間の経営努力では、最長8両編成だった列車を6両に統一して保有車両数を削減したほか、沿線PRなどで新規需要を掘り起こしている。

今後の設備投資では、昭和末期から平成初期に多編成導入した車両や、変電所設備、列車運行管理システムを更新。特に既存車両は、VVVFなどの機器更新や省エネ化を推進。安全安心対策では、全車両に防犯カメラの設置が打ち出されている。

記事:上里夏生