ディーゼル機関車が2段積みコンテナ貨車をけん引するCPRの列車(写真:カナダ太平洋鉄道オフィシャル)

カナダ西部のカルガリーに本社を置く、北米有数の貨物鉄道会社・カナダ太平洋鉄道(CPR)のジョーダン・ケイファス副社長補佐とコーリー・ハインツ アジア地区代表らが日本企業向けセールスのために来日し20日、東京都内で会見した。

会見するハインツ アジア地区代表(左)とケイファス副社長補佐(右)(筆者撮影)

1881年から列車運行を開始し140年の歴史を持つCPRは、路線運行距離1万4021マイル(約2万2700キロ。2021年データ)で、北米の貨物鉄道ではユニオン・パシフィック鉄道、BNSF、CSXコーポレーション、ノーフォーク・サザン鉄道、カナディアン・ナショナル鉄道に続く6位。2021年売り上げは79億9500万カナダドル(約7900億円)。

CPRは現在、アメリカ南部とメキシコにネットワークを持つ、カンザスシティ・サザン鉄道(KCS)の合併が最終段階を迎えている。カナディアン・ナショナル鉄道との買収合戦が繰り広げられたKCSとの経営統合は2023年3月までに完了の見込み。新しく誕生するカナダ太平洋カンザスシティ鉄道(CPKC)は、カナダ、アメリカ、メキシコの3カ国にネットワークを持つ鉄道会社になる。

カナダ・バンクーバーからアメリカ・ニューヨーク、フィラデルフィアまで大陸横断のネットワークを持つCPRの路線網(資料:オーシャンコマース)

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ケイファス副社長補佐らの来日は昨年10月に続く2回目で、2月末までの滞在期間中にトヨタ自動車や本田技研工業といった主要荷主企業を回って鉄道利用を呼び掛ける。

アジア発の北米向け物流は、コロナ禍の2020年から混乱して運賃が高騰。コンテナ船は入港後、1カ月以上荷卸しを待たされるといった異常事態が発生している。

CPRはカナダ西海岸のバンクーバー港を受け入れ港とするが、CPKC発足後は他港で陸揚げするなどルートを多様化して輸送改善につなげる。大陸内のコンテナ輸送では安全品質向上に取り組み、日本の産業界への信頼確保に力を入れる方針を示した。

会見では、同じ鉄道マンとして日本の鉄道にも話題が及び、「日本で一番好きな列車はシンカンセン。北海道や北陸、九州にネットワークを広げる高速鉄道への乗車を楽しみにしている」と笑顔をみせた。

記事:上里夏生(情報協力・オーシャンコマース)