LIFULL(千代田区)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」は6日、実際の物件問合せ数からユーザーの「本気」で住みたい街をランキングした「2023年 LIFULL HOME’S みんなが探した!住みたい街ランキング」を発表しました。

今回のランキングでは、住みたい街ランキング(首都圏版)のTOP100に入っている駅の数を沿線別に集計した「路線ランキング」を初めて発表。買って/借りて住みたい街が多い路線のトップ3を「JR線が独占」するなど、首都圏を通る主要路線や長距離路線が上位に来る結果となりました。

※以下、路線とTOP100に入った駅数を()で表示しています。調査期間は2022年1月1日 ~ 2022年12月31日、LIFULL HOME’Sに掲載された賃貸物件・購入物件のうち、実際の問合せ数を駅別に集計後、TOP100の駅を路線別に集計しています。

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「買って住みたい街が多い路線」ランキング

買って住みたい街が多い路線ランキングTOP10(画像:LIFULL)

1位はJR京浜東北・根岸線(16駅)。京浜東北線は埼玉県の大宮駅から神奈川県の横浜駅を結ぶ南北の大動脈であり、横浜駅から大船駅を結ぶ根岸線と一体的に運行されています。

「東京」「品川」「横浜」といった日本屈指のターミナルを結んでいることもあり、移動における「タイパ」の良さが注目されています。また「桜木町」「山手」など横浜市中心部に位置する駅もトップ100に食い込んでおり、沿線全体で満遍なく居住ニーズがあることがうかがえる結果となりました。

2位はJR総武線/総武本線(12駅)。千葉駅から三鷹駅まで首都圏を東西に結ぶ総武線、東京駅から銚子駅を結ぶ総武本線を合わせています。

「吉祥寺」を筆頭に「三鷹」「中野」「荻窪」「御茶ノ水」など都内屈指の居住人気エリアが並び、「小岩」「稲毛」「船橋」「千葉」など城東から千葉方面にかけてコスパに優れた街も多いようです。

3位はJR湘南新宿ライン高海/宇須(11駅)。「高海」や「宇須」ってなに……? と調べてみたところ、どうも高崎線と東海道線、宇都宮線と横須賀線を結ぶ系統を指すようで、主に不動産業界の物件検索などで使われています。

埼玉県中心部の「熊谷」「上尾」「大宮」などから、郊外に位置するベッドタウン「池袋」「赤羽」などの準都心・近郊エリア、神奈川県中心部から湘南エリアに位置する人気エリア「横浜」「茅ケ崎」「平塚」などを結んでおり、首都圏各地への移動を飛躍的に改善しています。

また注目路線として東武東上線(8駅)が5位にランクイン。「池袋」から埼玉県の「寄居」までを結ぶ全40駅、運行距離75キロの路線ですが、生活費も含めコスパに優れた街が多く、「買って住みたい街」の多さで上位に食い込んでいるようです。比較的新しい「ふじみ野」駅も人気のベッドタウンに成長していることがうかがえます。

その他、4位にJR中央線/中央本線、6位以下はJR東海道本線、JR山手線、JR横浜線、東京メトロ南北線、東京メトロ日比谷線が並びます。

「借りて住みたい街が多い路線」

借りて住みたい街が多い路線ランキングTOP10(画像:LIFULL)

1位は「買って住みたい」の2位にランクインしたJR総武線/総武本線(19駅)。乗り換えなしで「東京」や「新宿」にダイレクトアクセスができること。また、都内屈指のベッドタウンである「三鷹」「吉祥寺」「荻窪」などと直結していることが強さの理由でしょうか。千葉方面などは都心に近い割に賃料相場が比較的安価で、こうしたコスパの良い街がランキングを押し上げています。

2位はJR中央線/中央本線(15駅)。8駅がJR総武線と重複していますが、三鷹以西から「国分寺」「国立」「立川」「八王子」など7駅がTOP100にランクイン。

都心と人気のベッドタウンを結ぶコスパの良さ、距離の割には移動時間が短いタイパの良さ、また山梨県・長野県方面からも都心にアクセスできることから、「転職なき移住」を支える動脈にもなっています。

同じく2位にJR京浜東北・根岸線(15駅)がランクイン。買って住みたい街同様、主要ターミナルを結ぶ交通利便性の高さや都心に近い割に賃料相場が比較的安価な「コスパの良い街」が魅力的に映るようです。

その他注目路線では東京メトロ東西線(7駅)が5位にランクイン。かつては日本一の混雑率を誇るといわれた路線ですが、「葛西」をはじめ、「西葛西」「行徳」「浦安」など東西線独自の駅が並んでおり、都心に隣接する湾岸エリアが賃貸ユーザーに注目されているということです。

LIFULL HOME’S総研の中山登志朗チーフアナリストによれば、「買って住みたい街」は都心と郊外を乗り換えなしで結ぶコスパの良い路線が人気。「テレワークなどを背景として都心一極集中が弱まったこと、消費者物価や住宅価格の急激な上昇が郊外方面で物件を探すユーザーを増やす要因になっている」ということです。

また「借りて住みたい街」では、移動の負担が比較的少なく、利便性も相応に維持される路線が上位に。コロナ禍による生活様式の変化により賃貸ニーズは「郊外化が顕著」ということで、その便利な足として機能する路線が注目されているといいます。

(京浜東北・根岸線 写真:tarousite / PIXTA)