すべての女性が、疾病や病弱にかかわらず、一生涯を通して、その人らしいウェルビーイングな生活をするために、肉体的にも精神的にも、そして社会的にも、すべてが満足されたオプティマルな健康を獲得し、維持する―――ウィメンズへルス。

このウィメンズヘルスケアの専門家をめざすには、どんな心得や視点で、どう取り組むべきか。千葉県東金市にキャンパスを構える城西国際大学 看護学部 清水清美 教授と学生が、直近の考察結果を発表した。

城西国際大学 看護学部は、月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)に悩む4年生の学生が「看護学生を対象とした月経前症候群のセルフケアと受診行動について」と題してレポート。

月経前症候群に悩む人たちの産婦人科 受診率は12%

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まず課題にあげたのが、月経前症候群に悩む人たちの産婦人科 受診率。なんと受診率は12%で、受診しない理由について調べると、「セルフケアである程度改善する」「仕方ないものと諦めている」「時間がない」「お金がない」「産婦人科に行きづらい」の順に回答が多かったという。

また、高校生までに知りたかった知識について聞くと、「セルフケアの方法」131人(40%)、 「生じた症状を受診する目安」125人(38%)、「精神症状に対する対処方法」123人(38%)、「低用量ピルについて」121人(37%)、「病院で可能な治療のこと」110人(34%)、「PMSがどのようなものか」109人(33%)、「身体症状に対する対処方法」106人(32%)、「痛み止めなど服薬について」84人(26%) と続いた。

「医療者は何をすべきか」について考察

こうした調査結果から、城西国際大学 看護学部の清水清美 教授と学生は「医療者は何をすべきか」について考察。

まず、月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)についての学習機会や、医療機関受診の目安、セルフケアの方法など、年齢にあった性教育の必要性を訴えた。

また、ピルの作用・副作用などの正確な知識、産婦人科受診のメリットも必要とし、病院側が学校へおもむき顔見知りになることで受診のハードルを下げる、学校側は個別で相談できる機会を設け、病院の紹介や受診を勧めるアドバイスも必要だろうと伝えた。

清水清美 教授「包括的・継続的・多様な視点から女性をケアできる能力を」

こうしたウィメンズヘルスにむけたケアの専門家にはどんな心得や視点、スキルがいるか。

城西国際大学 看護学部 清水清美 教授は、ウィメンズヘルスケア専門家に求められるものについて、こう伝えた。

「女性の一生涯における身体的側面の知識を獲得することのみでなく、包括的・継続的・多様な視点から女性をケアできる能力、女性特有の健康問題を社会課題としてとらえる視点、女性および多職種とのパートナーシップを取ることできる能力が求められる」

―――千葉東金キャンパスに国際人文学部・観光学部・経営情報学部・メディア学部・薬学部・福祉総合学部・看護学部を、東京紀尾井町キャンパスに経営情報学部(グローバル経営情報コース)・メディア学部(映像芸術コース)をおく城西国際大学は、ことし4月に健康科学研究科(修士課程)を新設。保健・医療・福祉の総合的視野を持つ高度専門職業人を養成していくという。