JR東日本とプロテリアル(※)が「新型トロリ線」を共同開発。5月中旬から埼京線の一部区間へ試験導入を行っています。

※2023年1月に日立金属から社名を変更。

トロリ線とは鉄道車両や工場内クレーンに電力を供給する銅線のこと。

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JR東日本はこれまで、在来線のトロリ線に主に銅を主材にスズを添加した「銅スズ合金トロリ線」を使用してきました。今回開発された新型は、スズに加えて新たにインジウムを添加したもので、現行品に比べて耐引張荷重が約25%強化されています。

また新型は本線用と車両基地・側線用を開発しており、用途にあわせて溝を設ける部位が異なっています。

新型トロリ線は摩耗を低減できる効果に加え、張替の目安となる摩耗量の許容限界を拡大する効果があるため、張替周期を約1.4倍に伸ばすことができます。たとえば張替周期が20年の線区では7年延伸できるようになる、という具合です。

JR東日本は、この新型トロリ線を摩耗が激しく張替周期が短い箇所へ導入することで、人件費・整備費におけるコストダウンなどの効果が期待できるとします。メンテナンスについても本線用、車両基地・側線用でそれぞれ工夫がなされており、効率化に寄与するものと見られます。

本線用の新型トロリ線を試験導入しているのは、埼京線の中浦和~南与野間(張替長740メートル)、南与野構内(張替長1,270メートル)の2区間です。その他の区間への導入については、設備の老朽度や導入効果、他設備への影響などを勘案しながら検討するといいます。