〈熊本鉄道紀行・後編〉 ある意味「熊本空港アクセス鉄道」先行体験? JR豊肥線と空港ライナーを乗り継ぐ【コラム】
切り欠きホームのある熊本駅

それでは、ライナールートで空港へ。熊本駅から肥後大津駅まで、JR豊肥線の列車に乗車します。熊本駅は高架上に九州新幹線と在来線のホームが並びます(双方の間には、もちろん仕切りがありますが)。
在来線は中間駅タイプで一般的な2面4線に近い構造ですが、下り(八代方面)1番ホームと上り(博多方面)4番ホームには切り欠きがあって、実質は2面6線の構造です。
1番ホームの先に2番ホームがあります。利用した平日午前中の時間帯は、豊肥線の普通列車は1番ホーム、特急「あそ」など優等列車は2番ホームと、発車ホームを使い分けます。
切り欠きホームは、関東でもJR高崎駅や京急蒲田駅にあり、限られたスペースを有効活用できるメリットがあります。乗り間違いを防ぐ効果もありそうですね。
書き忘れましたが、JR熊本駅には大型複合施設「アミュプラザくまもと」が入る駅ビルも。肥後大津には限られた商業施設しかないので、熊本土産は駅ビルで選んだ方がベターかもしれません。
「あそBOY」がファンを魅了した線区
熊本発の豊肥線列車は、1時間当たり片道2~4本運転され快適に利用できます。鉄道ファンには、JR九州が1988~2005年に運転したSL列車「あそBOY」が記憶に残るかもしれない豊肥線は、熊本ー肥後大津間と肥後大津より先で運転状況が大きく異なります。
熊本ー肥後大津間は電化されて沿線開発が進み、最近は列車本数や利用客数の伸びといった指標がJR九州の在来線線区でトップクラスにランクされます。前編で紹介した熊本電気鉄道と同じく、都市としての熊本の発展が、豊肥線の熊本エリアにプラスの効果をもたらします。
熊本から肥後大津までは途中10駅、40分弱の行程で、チェックしたい途中駅が南熊本ー水前寺間の新水前寺駅。JR九州発足後の1988年3月に開業した新駅で、高架上1面1線のホームの下を熊本市電が走ります。駅近隣にあるのが熊本市立図書館で、私は途中下車して熊本電鉄の資料を調べました。

肥後大津駅は2面3線
豊肥線は全線単線ですが、熊本空港アクセス鉄道の分岐駅候補になった三里木、原水、肥後大津の3駅にはいずれも行き違い設備があります。肥後大津は熊本からの電化区間とその先、大分までの非電化区間の境界線で、2面3線のホームがあります。
肥後大津駅付近に大きな商業施設はありませんが、近隣には大分市と長崎市を結ぶ国道57号線の菊陽バイパスが走っていて、かなりの活気があります。
駅前には空港ライナーのジャンボタクシーが待機していて、予約不要で乗車できます。日によって違いはあるのでしょうが、利用した6月7日午後便は乗客定員9人に対し8人が乗車。観光旅行らしい人は見当たらず、全員が旅慣れたビジネス客や出張客という印象を受けました。

肥後大津駅から熊本空港までは、道路渋滞もなく15分程度で到着。豊肥線沿線には半導体工場の建設計画が浮上するなど、今後の発展が約束されます。新型コロナのような不測の事態はさておき、地域の明るい未来に連動して、豊肥線や熊本空港アクセス鉄道にも可能性が広がることを実感しながら、熊本を後にしました。

記事:上里夏生
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