商店街ホテルや周遊パスで沿線に活気

コロナ禍をきっかけに始まったリモート参加。2023年も東京や四国の高校がオンライン発表しました

参加10校(一部校はリモート参加)のうち、あぶ急社長賞を受賞したのは成城中高。①「伊達ももの里マラソン」の開催時期変更、②商店街ホテル、③あぶ急飯坂線周遊パスの発売、④ビニールハウス発電――の4項目のアイディアを発表しました。

マラソンは、モモの収穫期に合わせて毎年9月に開かれますが、これをマラソンに適した気候の3月に移して、参加者を増やします。商店街ホテルは空き店舗の利活用促進で、1階がフロント、2階が客室。歴史、景観、食といった伊達の観光を情報発信すれば〝インバウンド人気観光地〟になれる可能性も。

鉄道の利用促進につながるのが、あぶ急と福島交通飯坂線共通のフリーきっぷ。両線は福島を起点に北方へ線路を延ばしており、二次交通を整備すれば福島県北の観光ルートが誕生するかもしれません。ビニールハウス発電は、新しい再生エネルギーに期待。ハウス上のソーラーパネルで発電します。

成城中高は、鉄道に直接関係するアイディアは少なかったのですが、沿線振興で鉄道利用客を増やすという2段構えの活性化策が評価されました。

あぶ急社長賞の副賞は、列車ヘッドマークのデザイン権。東北鉄道紀行を計画中の方は、情報をチェックしましょう。

2023年6月の定時株主総会と取締役会で就任した、宮城県庁出身の冨田政則あぶ急代表取締役社長(左端)から賞状を受ける成城中高生

片道利用OKの全線フリーきっぷなど

次点の伊達市長賞を受賞したのは、東京の芝学園中学・高校交通研究部。①新しい観光列車、②企画きっぷ改善、③車内での移動販売――の3点を提案しました。

企画きっぷは、福島―槻木間全線有効で途中下車OK。片道利用可能で、行きはあぶ急、帰りは東北新幹線やJR東北線といった柔軟な行程が組めます。新しい観光列車は、世代交代で引退が進む8100形電車を改造します。

地鉄交流会代表理事賞は、開催県・福島県いわき市の福島工業高専鉄道愛好会が受賞。あぶ急のほか、地域のバスやタクシー、そして沿線商店街でも使える汎用型回数券を発想。鉄道ばかりでなく地域通貨のように使えることで、幅広い利用が期待できます。

次ページ人気鉄道系YouTuberがゲスト出演