新幹線高松駅はどこに置く? 高松空港地下もインパクト大

ここから、期成会が2022年6月に公表した「新幹線が都市を変える~新幹線と四国のまちづくり調査~」報告書をもとに、四国新幹線の整備計画を考えます。

四国の地方銀行4行のシンクタンクが、期成会の委託を受けて「四国アライアンス地域経済研究会」名義でまとめた報告書では、「徳島、高松、松山、高知の各県都の新幹線駅はどこに置くべきか」などを検討しました。

在来線駅に併設される新幹線高松駅=イメージ=。高松シンボルタワー、高松港(築港)などが描かれます。在来線は行き止まりの頭端駅ですが、新幹線は大きくカーブして徳島方向に向かいます(資料:四国新幹線整備促進期成会(香川経済同友会) )

新幹線高松駅(もちろん仮称。以下も同じです)の候補地は4案あります。具体的な駅位置は、①JR高松駅併設、②JR栗林駅(高徳線)付近、③琴電伏石駅(琴平線)付近、④高松空港地下ーーです。

新幹線高知駅は、①JR高知駅併設、②JR・土佐くろしお鉄道後免駅併設ーーの2案を挙げました。

新幹線徳島駅は、①鳴門エリア、②徳島阿波おどり空港(徳島空港)付近、③JR徳島駅併設ーーの3案を比較しました。

4都市のうち、駅位置がほぼ決定済みなのは新幹線松山駅だけ。連続立体交差(高架化)事業中の在来線(JR予讃線)の東側に新幹線駅を併設します。

在来線駅に併設される新幹線駅に北側から入る新幹線松山駅のイメージ(画像:四国新幹線整備促進期成会(いよぎん地域経済研究センター))

高松駅を考えましょう。常識的にいえばJR高松駅併設ですが、高松空港地下の新幹線駅にも相当なインパクトがありそうです。

高松港は瀬戸大橋開通まで岡山県宇野港と結んでいた宇高連絡船が発着し、海陸の交通結節点でした。瀬戸大橋や明石海峡大橋が架橋され、本四連絡は今や道路交通が主役ですが、仮に高松空港に新幹線駅ができれば、空港が空陸の交通結節点になって、四国全体の地域振興に大きなプラスの効果を与えるのは確実です。

報告書の全文は、期成会のホームページに掲載。鉄道ファンなら、ルートやダイヤを想像(妄想?)して楽しめそうです。

「関西・瀬戸内の交流を活発化」(愛媛県がJR西日本に要望書)

最後に県単位の動きを一つ。愛媛県は2023年10月、四国新幹線の早期実現に向けた要望書をJR西日本に提出しました。

要望書は、「四国を含めた関西・瀬戸内全域で観光・ビジネス交流を活発化し、地域活性化に連携して取り組む」、「新幹線を骨格とした公共交通ネットワークを構築し、鉄道の抜本的高速化を実現する」が柱。

想定ルートでは、四国新幹線は山陽新幹線の分岐線になるわけで、JR西日本と四国の地元がWINWINの関係を築こうという意図がうかがえます。

現在、整備新幹線で計画が宙に浮いた状態なのは、北陸新幹線敦賀ー京都ー新大阪間と西九州新幹線新鳥栖ー武雄温泉間です。

とはいえ、四国新幹線との三択にならないことは、皆さまご承知の通り。本格的な人口減少社会が訪れ、財政事情が厳しさを増す中で、本当に必要な高速鉄道はどれか。その点に思いをめぐらすと、四国新幹線には一地方の高速鉄道というだけでなく、日本の未来が託されているような気もするのです。

記事:上里夏生