下北駅を出て、今度は本流の田名部川を渡ります。右(南西)側300m程で陸奥湾です。

大湊線は同じ様な風景が続きます。下北半島中央部にある山地を避けて西側の陸奥湾に沿った平地をほぼ南に比較的真っ直ぐ進みます。陸奥湾の海岸を走る”見せ場”もありますが、概ね、この様な平和な前面展望です。

下北駅から2.3kmで赤川駅。誰も朝から乗降していないのでしょう。ホームの雪に足跡はありません。赤川駅辺りから陸奥湾(右)側は耕作地が無く、300mほどの幅で森が続いています。道路も無いので海に出るには、深い森を抜けるか、それがイヤならかなり大回りしなければなりません。

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駅名標。1921年(大正10年)大湊軽便鉄道(翌年大湊線に改称されました)の田名部(たなぶ)駅として開業。同年田名部町の中心部とこの駅を結ぶ馬車軌道(田名部軌道)の起点にもなります。1939年(昭和14年)大畑線が開業し、田名部駅も作られたことで田名部運輸軌道(田名部軌道から改称)の利用者は激減して廃止されました。田名部町は現在の下北駅の北東1kmほどにある田名部神社の周辺です。

1948年(昭和23年)赤川駅に改称。というか、そもそも駅所在地が赤川町なので最初に田名部駅と命名したことがおかしい様な気がします。でも1921年(大正10年)頃の駅所在地の地名が分からないのです。1972年(昭和47年)貨物取扱廃止、駅は無人化されました。駅名標の背後には県道176号線が通っています。

この先は市街から離れて人家の少ないエリアになります。右側は陸奥湾まで広がる森が続いています。

左手を県道176号線、途中から国道279号線が並行しています。道路沿いには店舗などがありますが目立つ様な集落はありません。

前方以外は、木々で視界が塞がれています。一応は、防風・防雪林なのでしょうか。

駅間が5km以上あります。フルルルルと、キハ100のディーゼルの音だけが低く響いています。

赤川駅から5.5kmで金谷沢駅。

この駅もホームの雪に足跡はありません。駅の周囲は、大湊線で最も周辺人口が少なくて、金谷沢駅を中心にした半径500m=直径1kmの円内に24世帯84人が暮らしているダケなのです。(2010年・国勢調査)

似た様な前面展望で退屈かもしれませんが、鉄道旅としてはすごく平和で(延々と前面展望撮影をしなければ)寛げます。

【非電化路線に乗ろう02】大湊線 その4 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)