5月の大型連休が終わり、日本列島の南から梅雨入りのニュースを聞くようになると、週末の大学がにぎわいをみせる。そう。大学の雰囲気を体感できる、オープンキャンパス。

理系の工学部と文系の人間社会学部をもつ埼玉工業大学でもオープンキャンパスが始まり、初回の6月9日は予想を上回る来場者で学生も教諭たちも大忙し。

とくに今春から新たにAI専攻が設定された工学部 情報システム学科は、概要説明の教室定員をオーバーし、サテライト会場を設けるほど。

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「将来、ITエンジニアになりたい」「AIを駆使してロボット研究にかかわりたい」「リアルな課題をバーチャルとの融合で解決していきたい」といった高校生たちが、IT専攻やAI専攻、電気電子専攻の各教室をまわって、学生や教諭にいろいろ質問していく。

そんな工学部のなかでも、とくに注目を集めているのが……。

自動運転分野_学内に自動運転技術開発センターを設立

大学での自動運転分野の研究は、名古屋大学や群馬大学、東京大学、金沢大学など、産官学でプロジェクトがすすむ。

埼玉工業大学もそのひとつ。AI専攻が新設されたこの春、埼玉工業大学は同時に自動運転技術開発センターを学内に新設。

工学部情報システム学科の渡部大志教授が同センター長に就任し、さらに新たに和田正義特任客員教授(東京農工大学)、大山航教授、山﨑隆治教授、服部聖彦准教授など、ロボットやAI(人工知能)関連分野を専門とする研究者も続々と参画中。

オープンキャンパスでは、レベル4対応の自動運転実験車両(トヨタプリウス)に試乗できるとあって、高校生たちの行列ができる。

渡部教授は、「自動運転レベル4対応車に初めて乗る」という高校生たちといっしょに乗り込み、自動運転のいまと近未来について話す。

クルマを降りると、各機器の役割や、レベル5へむけた課題などなど、高校生たちも聞きたいことがいろいろ……。

「ITを活かす文系」にも注目が集まる

「工業大学」という名がつく埼玉工業大学は、文系の人間社会学部でも「ITを活かす」という文理融合をめざしたカリキュラムも特徴のひとつ。

最近のニュースでは、「もともとごく普通の文系です」という情報社会学科4年 浜名貴哉さんが、マルチメディア検定(CG-ARTS)文部科学大臣賞を受賞したのも話題に。

「マルチメディア論や情報リテラシーといった授業を受けているうちに、メディアリテラシーや知的財産権といった課題に興味をもち始めました。いろいろ知りたい、検定で自分を試してみたいと思って、マルチメディア検定にトライしてみました」と浜名さん。

浜名さんの横に座る情報コミュニケーション研究室 森沢幸博教授は「マルチメディア検定は、デジタルコンテンツやICTに関する知識を評価する検定。情報技術の基礎からビジネスに直結するマーケティングやセキュリティといったカテゴリまで、広範囲で試される試験」と。

「埼玉工業大学がめざす文理融合が実ったケースのひとつ。理系文系という隔てなく学べる場がある。今後は、人文科学や情報系の科目をさらに体系的に再構成し、文理融合の学び場を広げていきたい」(森沢教授)

そして7月1日には「人工知能キックオフシンポジウム」を開催

また埼玉工業大学では、7月1日に「人工知能キックオフシンポジウム」を開催。

基調講演では、富士通 中山五輪男 理事 首席エバンジェリストが「AIビジネスの最前線と人材育成」と題してトークを展開。また、そのほかの各講演については下記のとおり。

「情報システム学科におけるAI専攻設立について」
工学部情報システム学科 曹建庭教授・井上聡准教授

「機械工学科におけるロボット・スマート機械専攻設立について」
工学部機械工学科 福島祥夫教授・河田直樹准教授

「埼玉工業大学における自動運転技術開発について」
自動運転技術開発センター 渡部大志センター長

講演会は13時~15時40分。自動運転車試乗会は16~17時。入場無料(事前申込み制)。

―――このシンポジウムのあと、オープンキャンパスが7月14日、7月28日、8月4日、8月11日、8月25日と続くから、気になる人はチェックしてみて。