JR西日本は7月17日、鉄道MMSを導入すると発表した。

鉄道MMSとは?

MMSは”Mobile Mapping System”の略。レーザスキャナやデジタルカメラなどのセンサ、GNSS(Global Navigation Satellite System、GPS衛星を用いた航空機・船舶等の航法支援用システム)などを組み合わせて車両に搭載し、移動しながら周囲の3次元計測を行う技術のこと。

鉄道MMSは道路分野で普及しているこのシステムを鉄道分野に応用したもの。具体的には線路上を走行しながら鉄道および周辺設備の3次元位置情報を取得できる。

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JR西日本は2013年にアジア航測(株)と資本・業務提携を結び、共同で鉄道MMSの研究開発を進めてきた。アジア航測(株)はすでに今年2019年7月5日に、同技術を用いた新サービス「RaiLis(レイリス)」を発表している。

導入のメリット

従来は人手で測っていた建築限界やホーム限界などを車上でそのまま測定出来るようになる。将来的には判定の自動化も行われる予定だ。

直接現地に行かなくても現場調査や測量が可能になるため、仮想空間での工事計画や安全対策の検討、図面・台帳作成の効率化なども期待できる。

導入に至る経緯

JR西日本は中期経営計画で基本戦略の一つに「生産性向上」を掲げており、新技術を用いた「メンテナンスのシステムチェンジ」に取り組んでいる。鉄道MMSは、2017年5月に発表された線路設備診断システム、同年10月に発表された車両状態監視装置に続く三番目の取り組みとなる。

鉄道MMSの運用開始は2021年予定。新幹線・在来線全エリアが対象となる。