電子レンジで調理したパスタを取り出すロボット

「私の料理の腕前をたっぷりとご覧ください」「ご注文はミートソースでしたよね?」「今日は大宮駅から電車でお家に帰ろうかな」「仕上げに美味しくなる魔法をかけます」――人間のお客さんと接客しながら、ロボットがアーム一本でパスタを作る。そんな未来的な光景がJR東日本の大宮駅で繰り広げられていました。

未来の駅のサービスを体験できるイベント

JR大宮駅西口イベントスペースでは、本日12月4日(水)~12月9日(月)までの6日間、未来の駅のサービスを体験できるイベント「STARTUP STATION」を行います。開催時間は各日11:00~18:00まで(初日のみ14:00~18:00)。主催はJR東日本スタートアップ株式会社。

同社は2017年より「JR東日本スタートアッププログラム」を開始。ベンチャー企業や様々なアイディアを有する方々から、JR東日本の駅や鉄道・情報資産などを活用したビジネス・サービスの提案を広く募り、新たなサービスとして実現していきます。たとえば来春高輪ゲートウェイ駅にオープンする無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」は、2017年度に本プログラムで採択されたサインポスト株式会社の「AI無人決済システム」から発展したものです。

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ベンチャーの持つアイデアとJR東日本のインフラを結び付けて新しいサービスを実現していきましょう、というこの取り組みも今年で3回目。過去最大となる262件の提案が集まり、21件の提案が採択されました。今回の大宮駅「STARTUP STATION」で体験できるのは、そのうちの4件になります。

画面をタッチして食べたいメニューを選ぶ

株式会社QBIT Roboticsは「最先端AI技術を使った無人ロボットパスタカフェ」にてショートパスタを提供。ロボットは人間の作った発話のシナリオから適切な応答を選び、顧客と「会話」しながらショートパスタを作ります。調理機材は飲食点等で実際に使われているもので、ロボット用に新たに開発したものではありません。

メニューはカルボナーラとミートソースの2種類。期間中は1食100円で1日160食提供。アームの動きがなかなか楽しく、機械マニア的には電子レンジの扉を開ける瞬間に要注目。エンターテインメントを備えた省人化に期待がかかります。

10杯全て飲むと正確な判定が出る

MIRAI SAKE COMPANY株式会社の実証実験内容は「AI味覚判定を活用した日本酒レコメンドサービスによる新しい観光提案」。来場者は新潟の日本酒を10種類飲み比べ、スマートフォンで評価を入力。するとAIによる味覚判定が行われ、判定結果に基づいたおすすめのお酒がグラス一杯提供されるというシステムです。

体験料は最後の一杯も込みで1回1,000円。1日60名から70名程度まで体験可。味覚を判定するだけでなく、一人一人にあった日本酒や酒蔵・飲食店を提案する”酒ツーリズム”の実現を目指しています。

水槽からすくった魚をその場で凍結

ブランテックインターナショナル株式会社は新しい瞬間凍結技術HybridICEを披露。魚を一瞬で凍らせることで細胞を壊さず、鮮度を維持したまま地域鮮魚を首都圏に届けることが出来るようになります。

凍結の実演は期間中にも行うようですが、ブースで販売するのは現地の加工場で凍結したもの。カニとエビは石川、牡蠣は広島、メカジキは気仙沼産。試食も可能です。

スイーツ自販機には冷蔵機能が付いている

株式会社ブイシンクは新しい機構の自動販売機を開発、展示しています。今までは自動販売機で販売できなかった駅弁やスイーツなど、鮮度の高い商品の取り扱いを可能にすることで営業時間の拡張や省スペースでの営業展開を図ります。関係者の話によれば来年の夏頃には投入したいとのことでした。

食品自販機といえばサービスエリアに設置されているうどんやそばの自販機を思い出しますが、この自販機では最大幅1メートルほどの食品も扱えます。また、駅弁やケーキを売る自販機は世界で初めてという点でも要注目ですね。

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記事/写真:一橋正浩