冷たい雨降る昼下がり、東北線 赤羽。

北区赤羽台の坂道へむけて次々と発つ国際興業バスに手を振って、赤羽緑道公園という遊歩道へ。

この公園にはいかにも、ここにかつて線路が敷かれていたと思わせる、きれいなS字カーブが続く道がある。

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途中には、線路をイメージしたタイル絵や鉄橋、蒸気機関車の動輪を形どったレリーフも……。

Googleマップでこの赤羽緑道公園を俯瞰すると、緑道がきれいなカーブを描いている。

東北線の線路を赤羽八幡神社付近で分岐し、赤羽自然観察公園を左に見て、国立西が丘サッカー場付近へと到達するルートがそれ。

このルートこそ、東京陸軍兵器補給廠線の線路跡。

赤羽はかつて、軍都といわれるほど日本軍の施設が集結していた。

JR東北線赤羽駅の西側、赤羽台や赤羽西といったエリアには戦中、火薬庫や兵器支廠、被服本廠などが存在し、そこへの輸送用に、東北線から分岐した線路が敷かれていた。

この線路跡をゆっくり歩いてみると、意外と起伏があることに気付く。

いまある大小の勾配が、当時のそのままかどうかはわからないけど、貨物列車を引っ張って、こうした勾配を越えていた蒸気機関車の煙が想像できる。

陸軍施設があった地はいま、広大な団地や学校、公園、競技場などがあり、かつての軍都の面影は、ない。

レールや鉄橋、動輪のモニュメントを添えて、かつてここに列車が走っていたことをぼんやり伝えている赤羽緑道公園。その過去を詳しく伝える資料や説明文は、見当たらなかった。

写真 記事:鉄道チャンネル編集部