※2022年3月撮影

トップ画像は、JR東海飯田線城西駅に到着する下り普通電車。JR東海213系電車5000番台。かつて飯田線を走っていた119系電車を2012年(平成24年)までに置き換えました。

下り電車到着前の城西駅元島式ホームの豊橋駅側が見えます。この駅を出ると向市場駅までの間に有名な「S型鉄橋」の第六水窪川橋梁があります。

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見えている山塊には、天竜川断層があって1954年(昭和29年)に完成した向皆外トンネル(45m)が地盤の不安定さからトンネルの中心線がズレたり断面が変形、ついにはトンネル周辺の山全体が水窪川に滑り落ち始めたことで放棄されました。不安定な断層のある山側を迂回するため水窪川上の第六水窪川橋梁(400.7m)が選択されたのです。

※2022年3月撮影

写真は、前日に乗った臨時急行「飯田線秘境駅号」の第六水窪川橋梁上からの車窓。左側の河岸に不安定な断層がはしっています。

※2022年3月撮影

第六水窪川橋梁北側の第一久頭合トンネルも同様の地殻変動による崩落の危険がありました。しかし、トンネル全体に及ぶものでは無かったので危険な城西駅側の坑口部分を避け、別の坑口からトンネルを採掘し、既に完成したトンネル内部で接続しています。飯田線の敷設には斯様な苦労が多々あるのです。

城西駅は、国道152号線に沿っています。この長閑な景色から、地盤の不安定さなどは想像できません。

※2022年3月撮影

無人駅です。駅舎の建物資産標には「鉄 03-4001 S.30.12」と記載されていました。1955年(昭和30年)飯田線佐久間駅~大嵐駅間が佐久間ダム完成による経路変更で新線に移行されました。その際新線上に城西駅が開業しています。

※2022年3月撮影

元島式ホームでしたが、駅舎側は線路が撤去され旧上りホーム側のみが使われる棒線駅になっています。駅名標も裏側の白い部分しか見えません。飯田線の反対側にも道はある様でしたが、畑(私有地)の小径なので諦めました。

※2022年3月撮影

駅出入口。1955年(昭和30年)の不思議なモダンさが感じられます。

※2022年3月撮影

次は水窪駅です。

※臨時急行「飯田線秘境駅号」車窓などはJR東海さんの許可をいただいて撮影しています。

※駅などについては『JR全線全駅』(弘済出版社/1997)、『週刊朝日百科 JR全駅・全車両基地01-60』(朝日新聞出版/2012-2013)他を参照しています。

※鉄道撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいているものです。鉄道を撮影する時は感謝の気持ちを伝えましょう。ありがとうございます。

(写真・文章/住田至朗)