駅構内のコインロッカーに商品を配送してもらい、帰宅時や散歩の際に取り出してお家へ持ち帰り――そんな「置き配」ならぬ「駅配」サービスが新たに始まろうとしています。

株式会社西武ホールディングスは、株式会社そごう・西武、株式会社セントラルオペレーション、株式会社SPACERと協業。2021年2月8日(月)より、実証実験として、西武鉄道の駅構内に設置するスマートコインロッカーを活用した「BOPISTA(ボピスタ)」(※1)の提供を始めます。

サービス提供駅は西武鉄道池袋線の池袋駅、富士見台駅、所沢駅。利用者は専用ウェブサイトで商品を注文し、通勤帰りなど自分の好きなタイミングで、駅改札外に設置されたSPACERのスマートコインロッカーから商品を受け取ります。

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利用にはSPACERロッカーを開錠するためのアプリ「SPACER」のDLが必要で、利用料金は原則、商品代金に応じて100円~500円を課金する形。実施期間中には配達料割引キャンペーンも実施予定です。

実証実験期間は2021年2月8日(月)から2021年3月31日(水)までの平日。注文は平日24時間いつでも可能となっていますが、土日祝日の前日は17時まで、土日祝日の翌日は朝6時からとなります。

購入可能商品は西武池袋本店のスイーツ(常温保存可能な焼き菓子等)、ギフト(化粧品、小物等)の一部商品で、商品の詳細は本年1月下旬頃に発表予定。温度管理が必要な食品や弁当類、惣菜などは扱わず、また仕入れ状況により取扱商品が変更になる可能性があります。

※1 オンライン購入した商品をリアルな店舗で受け取る購買スタイルBOPIS(Buy Online, Pick-up In Store)の新しい形、駅の立地を生かした駅配サービス(Buy Online, Pick-up In Station)。

増える配送需要、再配達のロスが問題に

所沢駅に設置されているスマートコインロッカー「SPACER(スペースアール)」 実験では改札外に設置する

コロナ禍においては密を避けた「非接触・非対面」によるモノやサービスの購入を求める声が高まっており、食品などの通販需要が拡大しています。

ECサイトなどで注文した商品を配送してもらう場合、問題となるのが荷物の受け取りです。一人暮らしにはありがちですが、昼間に荷物を受け取れず再配達をお願いすることもしばしば。

利用者としてはありがたい再配達ですが、余計にトラックが走行することで年間42万トンのCO2が排出され、9万人相当の労働力がロスしている(※2)との試算があり、社会課題となっています。

西武HDによれば、本実証実験はそうした社会課題の解決に資するだけでなく、駅間の商品輸送を西武グループが鉄道を利用して行うことで、物流による環境負荷の軽減に資する可能性を模索していくとのことです。

※2 【参考】国交省は4月・10月の年2回再配達率のサンプル調査を実施しており、そのおよそ2ヶ月後に調査結果を公開しています。参考までに、コロナ禍前の令和元年10月は15%ほど、緊急事態宣言中の令和2年4月でも8.5%、令和2年10月は11.4%でした。傾向としては地方より都市部の方が多い傾向にあります。

鉄道チャンネル編集部

※2021年1月7日16時50分、記事タイトルを一部修正しました。