※2020年9月撮影

トップ画像は、東北本線石鳥谷(いしどりや)駅。端正な海鼠壁の駅舎です。瓦屋根がとても美しい。

石鳥谷とは少し聞き慣れない地名かも知れませんが日本酒好きにはある種有名な「聖地」でもあります。日本酒を醸す技術者を「杜氏(とじ)」と呼びますが、石鳥谷は全国400近い酒蔵に出かけて行き日本酒を醸している「南部杜氏」たちの拠点なのです。

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その歴史は江戸時代初期と言われ、石鳥谷には盛岡藩の御用酒屋があり、藩主に献上する酒を醸す酒司が住んでいました。この技術が農村部で伝承され農民たちが農閑期に杜氏として出稼ぎする素地となったのです。

青森県「田酒」、岩手県「あさ開」、宮城県「一ノ蔵」、東京都の「嘉泉(かせん)」、静岡県「磯自慢」など全国の名だたる銘酒が南部杜氏の伝承された技術で醸されています。

石鳥谷には観光的な「南部杜氏伝承館」「南部杜氏会館」「南部杜氏歴史民俗資料館」「石鳥谷農業伝承館」や、実際に杜氏後継者を育成する「南部杜氏研修場」もあります。日本酒好きとしてはぜひ見学したかったのですが、駅至近というワケではない様なので諦めました。

すみませんイキナリ好物の日本酒の話に夢中になってしまいました。

石鳥谷駅舎の建造時期は未詳ですがかなり良い状態に改修されています。駅舎の奥には、2000年(平成12年)に作られた東西自由通路出入口の建物が見えます。

※2020年9月撮影

駅出入口、奥に石鳥谷駅の構内跨線橋が見えます。木のベンチも良いですね。電話ボックスと郵便ポストも揃っています。

※2020年9月撮影

石鳥谷駅は、1893年(明治26年)日本鉄道の駅として開業。1906年(明治39年)日本鉄道が国有化され東北本線の所属駅になります。1971年(昭和46年)貨物取扱廃止。1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化でJR東日本に継承され、2004年(平成16年)石鳥谷駅の駅長が廃止され業務委託駅になりました。

正確な時期は分かりませんが駅前ロータリーが整備されたのは比較的近年の様です。

※2020年9月撮影

駅出入口の正面。近くで観ても瓦屋根の整然と葺かれている様は美しく感じられます。

※2020年9月撮影

駅前の風景。県道117号を真っ直ぐ進むと北上川です。時刻は朝の8時25分。まだ朝日です。

※2020年9月撮影

岩手県交通の路線バスが来ました。

※2020年9月撮影

※鉄道の撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいています。撮影は何よりも安全が最優先。あくまでも業務・利用の邪魔にならないように、そしていつも感謝の気持ちを持って撮影しています。

(写真・文章/住田至朗)