2つの装置で構成されるブレーキ総合試験装置の概要(資料:JR東海)

JR東海は小牧研究施設に「ブレーキ総合試験装置」を設置、2021年6月から試験装置の調整や試運転などを行い、2022年3月から本格稼働を開始している。導入費用は約28億円。

同装置は「粘着(※)試験部」「台車試験部」の2つの装置で構成されており、「粘着試験部」では粘着に関する基本的な試験を行う。そこで得た成果を検証するのが「台車試験部」だ。

※ここでいう「粘着」は、車輪が回転しながらレールに接触し、摩擦により加速力やブレーキ力を伝える現象のことを指す。

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大きな特徴は、寒冷な雨や雪の降る環境を模した試験ができること。そうした悪天候下では、強いブレーキをかけることで、滑走によりブレーキ距離が長くなる場合がある。試験装置(粘着試験部)では、様々な気象条件下で車輪と軌条輪の間の摩擦、車輪と軌条輪のすべりなどのわずかな変化を測定し、最適なブレーキ力の制御手法を見出すとともに、ブレーキ部品の改良に取り組む。

また、着雪しにくい車両構造の検討や、雪落とし作業を機械化する開発にも取り組むという。

小牧研究施設は実物大の大型試験装置を有するJR東海の研究施設。東海道新幹線には同施設で研究開発された成果が採用されている。