【鉄道を考える 08】何故肥薩おれんじ鉄道は電化を維持しているのでしょうか

2018.03.23

肥薩おれんじ鉄道の車両は全て気動車です

しかし肥薩おれんじ鉄道全線で交流電化設備が維持されています。交流電車は高価なので肥薩おれんじ鉄道は使用せず、気動車を運行しています。貨物列車の入って来ない肥薩おれんじ鉄道の留置線に架線は有りません。

肥薩おれんじ鉄道は、九州新幹線新八代駅〜鹿児島中央駅間の開業によって並行在来線として元の鹿児島本線八代駅〜川内駅間の運営を移管された第三セクター会社です。

JR九州鹿児島本線をJR貨物の電気機関車が牽引する貨物列車が走行していました。九州新幹線が開業したからと言ってJR貨物の貨物列車が標準軌(1435mm)を走れるワケではありません。従来通り鹿児島本線八代駅〜川内駅間(現・肥薩おれんじ鉄道線)を通過して貨物輸送を行っています。

トップ画像は肥後田浦駅で列車交換をする貨物列車です。当然、交流電化が維持されなければJR貨物の電気機関車は通過できないのです。並行在来線は地元住民の交通手段というよりもJR貨物のために維持されている面も大きいのです。

この新幹線開業によって並行在来線として第三セクター化された鉄道会社の鉄道設備の維持負担に関する問題が起こってきました。軽量な旅客車両に対して長大で重量のある貨物列車が通過することによる線路の保守費用が予想外に第三セクター会社にのしかかってきたのです。貨物調整金という国の助成が行われていますが、結局JR時代は利用者が負担していた維持費用を国民や県民が負担するという形になっているのです。

ここに誰が考えても奇妙な”歪み”があります。新幹線を作るために巨大な土木工事が行われ、並行在来線の維持には住民や国民の税金が投入されています。並行在来線では貨物列車のために電化設備と高度な鉄道基盤が保守維持されています。旧国鉄が分割民営化された意味が曖昧になってはいないでしょうか?

税金で支えられる私企業は、存在しません。

並行在来線第三セクターの鉄道設備保守維持費用の負担が問題になったために肥薩おれんじ鉄道にはJR貨物自身が出資をしています。

こうして単機で運行される肥薩おれんじ鉄道HSOR-100形気動車と長大な貨物列車がすれ違っていくのです。

薩摩大川駅で貨物列車とすれ違った時の写真です。

国鉄〜JR九州の社員だったという運転士さんは、いみじくも言っていました。「あんまり人の乗っていない肥薩おれんじ鉄道よりもコンテナを満載した貨物列車の方が正しい鉄道の姿かもしれないねぇ。」

(写真・記事/住田至朗)


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