鉄道総研が開発した線路周辺画像解析エンジン

公益財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は3月25日(水)、営業列車などの先頭に設置したステレオカメラによって得られた画像を解析し、列車走行に支障する恐れのある線路周辺の物体や沿線環境の変化などを検出する線路周辺画像解析エンジンを開発したと発表しました。

現在は支障物を線路周辺から取り除くため、保守係員が運転席に添乗し目視で線路の状態や沿線環境の変化を確認する巡視作業が行われています。本技術はこの業務にかかる負担を軽減し、省力化などに寄与するものです。主な特徴は次の4点。

(1)列車走行に支障する恐れのある物体の検出機能
列車先頭で取得した映像を用いた3次元計測技術により、設定した空間内に存在する物体の有無が判別できます。位置特定のための距離計測誤差率は5%未満です。

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(2)差分検出機能
異なる時間に撮影した2つの映像から両者の相違箇所を検出し、線路周辺の環境に変化があった箇所を把握します。

(3)線路沿線の物体・地形認識機能
列車先頭で取得した映像から、線路沿線の構造物や人、自動車、また高架橋や崖の上の盛土など高所を走行している区間などを認識・抽出します。

(4)自己位置推定機能
映像からカメラの姿勢・位置情報を算出する機能です。走行経路の推定及びGPSの位置情報の補足が可能です。

各システム参考

本開発の一部は国土交通省の鉄道技術開発費補助金を受けて実施されました。この技術のうち「(1)列車走行に支障する恐れのある物体の検出機能」については2020年4月からJR九州の列車巡視支援システムに搭載される予定です。

鉄道チャンネル編集部
画像:公益財団法人鉄道総合技術研究所