鉄道各社の暴力行為防止ポスター(駅構内用) 画像:日本民営鉄道協会

国土交通省と日本民営鉄道協会はそれぞれ、鉄道係員に対する暴力行為の発生件数をまとめた。両者はともに「駅員などへの暴力行為件数は高止まり傾向にある」とする。

国交省鉄道局は、JRグループや大手民鉄各社による2回目の「迷惑行為に関する連絡会議」を開催、令和元年度の鉄道係員に対する暴力行為の発生件数を報告した。年間発生件数は全国611件、平成30年度の670件に比べ59件の減少で、5年連続の減少となったものの、同局は「依然として高止まり傾向にある」と結論付けた。加害者は「飲酒あり」が63%、「飲酒なし」が25%(残りは不明)。半数超が「飲酒あり」というのは例年通りの傾向だ。

都道府県別では、東京都の243件が最多で、神奈川県の85件、大阪府の45件が続く。山梨、和歌山、鳥取、島根、山口、高知、長崎、大分、宮崎、沖縄の10県はトラブルが1件もなかった。

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民鉄協は、2020年度上半期(4~9月)に大手16社で発生した駅係員らに対する暴力行為の件数などをまとめた。発生54件で前年同期に比べ39件の減少となったものの、新型コロナによる移動自粛やテレワークで輸送人員が前期に比べ3割程度減ったことを考えると、依然高い水準にあるとする。

暴力行為の発生状況は、「理由なく突然」が43%、「迷惑行為を注意」が28%、「酩酊(めいてい)者に近付いて」が18%など。加害者の6割は飲酒していた。

JR旅客6社と民鉄協会員各社、公営地下鉄などは、暴力行為防止ポスター「酔った勢いで、人生はこわれる。」を各駅構内と列車内に掲出している。掲出枚数は、全国89社局の駅構内約6800枚と列車内約6万8000枚。掲出期間は2021年2月6日まで。

文:上里夏生