とれいんルームのジオラマ全景 写真:南海電鉄

鉄道模型ファンに、滞在型ホテルのデイユースで模型運転を思い切り楽しんでもらおうと、南海電気鉄道は南海難波駅近隣のサービスアパートメント(滞在型宿泊施設)の鉄道ファン向け客室に、模型ジオラマを設置した。中長期滞在の「フレイザーレジデンス南海大阪」は、南海とシンガポールの専門企業・フレイザーズホスピタリティの協業で、2010年10月に開業、10年を超す実績を持つ。

フレイザーレジデンスは、欧米や東南アジアからの滞在型訪日客を主な顧客層に運営してきた。しかし、2020年初からの新型コロナウィルス感染症で宿泊客が減少。ホテルは新たな利用客として、南海ファン・鉄道ファンを視野に、2020年10月から南海の運転シュミレーターや鉄道部品をインテリア的に配した客室「トレインルーム produced by NANKAI」を開設している。

今回は取り組みを一歩進め、トレインルームに縦約200cm、横約240cmという大型のNゲージジオラマを設置した。ホテルに近い大阪市浪速区の鉄道ジオラマカフェ代表・平岡達矢さんがプロデュースしたジオラマは、ターミナル駅の灘波から和歌山や高野山に向かう南海の路線をイメージ。始発駅近くは本線(空港線)、高野線が併走する難波駅をモチーフに複々線仕様とした。客室のソファーは南海特急「サザン」で使用されたクロスシートで、列車に乗りながらの運転士気分に浸れる。

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模型は南海電車のほか、利用客が持参した車両を走らせてもOKで、新幹線からSLまでどんな列車にも似合うように工夫している。料金は2万5000円で、5人まで入室可能。トレインルーム設定は月~木曜日で、時間は15~24時。利用者には次回宿泊時に使える割引券、カフェ割引券を進呈する。フレイザーレジデンスは、他の客室にもデイユースプランを設定して、リモートワークなどの需要に応える。

文:上里夏生